流動性危機と仮想通貨取引所FTXの買収意向の表明の後、バイナンスのチャンポン・ジャオCEO(通称CZ)は、バイナンスがデジタル資産の保有量の検証を可能にする「プルーフ・オブ・リザーブ」監査システムを間もなく開始すると述べた。
ツイッターの投稿で、CZは、「完全な透明性」を提供するため、ブロックチェーンのデータをより効率的かつ安全にエンコードするために使用されるデータ構造である「マークルツリー」を使用した「プルーフ・オブ・リザーブ」メカニズムを実装することを約束した。
プルーフ・オブ・リザーブの監査は、通常、独立した第三者によって行われ、カストディアンの資産が実際に所有されていることを確認する。
バイナンスのCZがプルーフ・オブ・リザーブを実装することを表明したのは、バイナンスがライバルの仮想通貨取引所FTXの買収の意向を表明した後だ。
チェーンリンク(LINK)のセルゲイ・ナザロフCEOはツイートで、仮想通貨ベースのプルーフ・オブ・リザーブのメカニズムが、取引所や金融機関の支払能力をより明確に投資家に示すことができ、「新しい業界標準になりつつある」との見解を示している。
一方、仮想通貨取引所クラーケンは、2022年2月からユーザーがトークン残高を確認できるよう、すでに「高度な仮想通貨会計手順」を導入している。
仮想通貨取引所OKXも9日のツイッター投稿で、マークルツリーベースのプルーフ・オブ・リザーブ監査システムを展開する計画を発表している。同社は、これが「業界において基本的な信頼を確立するための重要なステップだ」としている。
プルーフ・オブ・リザーブの監査を増やすというアイデアは、ツイッターの仮想通貨コミュニティからほぼ全面的に支持され、仮想通貨業界の著名人もバイナンスの動きに意見を寄せている。
ポッドキャスト「The Daily Gwei」のホストであるアンソニー・サザーノ氏とオープンソース仮想通貨取引所シェイプシフトの創設者であるエリック・ボーヒーズ氏は、プルーフ・オブ・リザーブがすでに分散型金融(DeFi)に組み込まれ、スマートコントラクトによって自動化されていると指摘している。
仮想通貨市場情報プラットフォーム「メサーリ」の創設者であるライアン・セルキス氏は、さらに一歩踏み込んで、規制当局は業界のより中央集権的なプレーヤーに注意を向けるべきだと主張した。
同氏は、DeFi規制を議論する前に、a16zやアラメダリサーチといったメガファンドのプルーフ・オブ・リザーブや流動性の開示を議論するべきだと指摘する。
しかし、全員が賛成したわけではない。仮想通貨デリバティブ取引プラットフォームdYdXの創設者であるアントニオ・ジュリアーノ氏は、プルーフ・オブ・リザーブでは取引所の保有量を確認するために必要な情報がすべて開示されないと指摘している。