ベラルーシのルカシェンコ大統領が、西側による制裁が経済に深刻な影響を与えていることを認めたうえで、国内銀行に対し仮想通貨の活用拡大を迫っている。

ベラルーシの国営通信社ベルタの報道によると、ルカシェンコ氏は火曜、中央銀行や商業銀行のトップとの会合で、デジタルトークンの利用拡大が必要だと述べた。

ルカシェンコ氏は「過去5年間で、国民経済とベラルーシの銀行部門は前例のない課題に直面してきた」と発言。「政府と中央銀行には対応する指示を与えた。今すぐ行動せよ」と強調した。

今回の要請は、同氏が先週金曜に議会で仮想通貨市場のルール作りを求めた直後のことだ。ベラルーシ経済は、ロシアのウクライナ侵攻を支持したことによるEUと米国の広範な制裁の影響で輸出が縮小し、低迷している。

匿名性と分散性を持つ仮想通貨は、ロシアや北朝鮮などの国が制裁を回避し貿易を行う手段の1つとして利用してきた。

仮想通貨取引所経由の決済、年内に30億ドル超も

オンラインデータプラットフォームのスタティスタによると、ベラルーシにおける仮想通貨利用者は2026年までに人口910万人のうち85万5000人を超える見込みで、普及率は9.57%に達すると予測されている。

ルカシェンコ氏は、バイナンスやOKX、クーコインなど国内で運営されている取引所の対外決済が、年末までに倍増する可能性があると述べた。

「いまや仮想通貨を用いた取引はかつてないほど活発であり、決済を促進する役割は拡大している」と同氏は語った。

「今年の最初の7か月間で、仮想通貨取引所を通じた対外決済の総額は17億ドルに達した。専門家の推計では、年末までに30億ドルに達する可能性がある」と続けた。

ルカシェンコ氏は昨年9月、個人がベラルーシ国内の取引所以外で仮想通貨を売買することを禁止する法律に署名している

デジタル決済システムの推進も要請

ルカシェンコ氏は銀行幹部に対し、QRコード導入から始めてデジタル決済システムを拡大し、年内に即時決済システムを稼働させるよう指示した。

VTBバンク・ベラルーシは、QRコードを利用してオンライン決済システムERIPと直接接続する決済サービスを顧客に提供し始めた。

ルカシェンコ氏は、同国のデジタル戦略は生体認証技術の導入を優先し、外部サービスへの依存を減らす専用IT企業を設立し、人工知能(AI)を活用したソリューションを統合する必要があると述べた。

「銀行は最新技術を最大限活用しなければならない。デジタル化はそれ自体が目的ではなく、具体的な経済的成果をもたらすべきだ」と同氏は付け加えた。

仮想通貨に対するベラルーシの姿勢

ベラルーシの仮想通貨に対する姿勢は一貫していない。2023年3月には、余剰電力を抱える国内事情を背景に、ルカシェンコ氏がエネルギー相に仮想通貨マイニング産業の育成を指示した

同年夏には、ビットコイン(BTC)を含むP2P(ピアツーピア)取引の禁止を検討する動きがあった

一方で、2018年には仮想通貨取引を合法化し、販売や交換、マイニングを認める措置も導入されていた。

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