カナダの中央銀行であるカナダ銀行は、デジタル通貨をすぐに発行する計画はないとしつつも、将来的にデジタル通貨を発行する可能性は排除しないとしている。
カナダ銀行のティム・レーン総裁は、モントリオールで開催された「Fintech RDV 2020」で講演し、現時点で中央銀行デジタル通貨(CBDC)は「切実な問題ではない」と述べる一方、プロトタイプの開発は進行中であり、関係者との間でCBDCの設計について幅広く議論していると語った。
「カナダ銀行は、安全でアクセスしやすく、プライベートであり、価値の保存手段として優れている現金のメリットを提供しつつ、オンラインや店頭でモノを購入できるデジタル版を設計することになるだろう」
またカナダ銀行は、プライベートな仮想通貨が幅広く流通することは、カナダドルに対する潜在的な脅威になる可能性があるとみなしているようだ。
「もし1種類以上のオルタナティブなデジタル通貨がカナダドルの代わりに広く使用されるようになれば、中央銀行は通貨主権を守るためにデジタル通貨を発行することになるだろう」
中央銀行は各国でデジタル通貨を検討
世界各国の中央銀行ではデジタル通貨発行の可能性を検討するための研究開発を進めている。
日本銀行は1月、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、カナダ銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げた。CBDCの活用の在り方、クロスボーダーの相互運用性の評価、先端的な技術について知見を共有し、CBDC発行に向けた研究を進めていく。
参加した中央銀行は、今年4月に米ワシントンDCで会合を開催する予定だ。各国中銀の総裁が参加し、CBDCの共同研究について議論するほか、CBDC間の通貨間決済の可能性やサイバーセキュリティなどの課題について議論することになるという。
最近では、スウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行は同国のCBDCである「eクローナ」発行に向けた技術ソリューションのパイロットプロジェクト開始を発表した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
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