スウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行は同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「eクローナ」発行に向けた技術ソリューションのパイロットプロジェクト開始を発表したこれまでにアクセンチュアと提携して試験プラットフォームを開発するとしていたが、今回の発表では具体的な試験期間と内容が発表され、発行に向けて着々と検討を進めていることが明らかになった。

今回のパイロットプロジェクトは2021年2月末までの1年間実施。ユーザーのデジタルウォレットにeクローナを入金し、モバイルアプリを介して入出金ができるようにする。また、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスやカードを通じて支払いも行う。公式発表ではさらにオプションを追加する予定としている。

テストには一般市民や銀行の参加が想定されている。スウェーデン国立銀行によると、スウェーデンの2018年のGDPに占める紙幣の割合は1%ほど。EUでは11%、米国では8%と先進国の中でも、スウェーデンは世界でも最も現金依存度の低い国の一つとして知られている。そのため、CBDCのテストでどのような結果が出るかが注目される。

一方で、「今回のパイロットプロジェクトはeクローナの発行やeクローナの設計、使用する技術が確定したわけではない。パイロットプロジェクトの目的はCBDCに関する知識を高めるため」と説明している。

バハマに続くか

CBDCの発行をめぐっては、バハマの中央銀行が今年中に発行を始める意向を示している。バハマは昨年12月にパイロットプロジェクトを開始しており、ジョン・ロール総裁はバハマドル(BSD)のデジタル通貨を2020年後半にも導入すると地元メディアに明らかにしている。

一方、ロール総裁は、今回のデジタル通貨が法定通貨であるバハマドルのデジタル的な表示にすぎないことを強調している。

中国でもデジタル人民元の開発が進んでいるが、スウェーデンやバハマに比べて具体的な情報はまだ出てきていない。


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