金融市場への投資においては、パニック売りはしばしば機会損失につながる。そしてそうした状況では、押し目を待っていると、特定の資産を保有する最も有利な時期を逃すことにも繋がりかねないーーー。

これは、バンク・オブ・アメリカが行ったS&P500種株価指数の調査から得られた一般的な見解だ。

バンク・オブ・アメリカのストラテジストは、1930年までのデータから、安定した保有戦略をとった場合、17715%のトータルリターンが得られることを発見した。一方、投資家が市場のタイミングを計ろうとすると、最良の取引日を逃してしまう可能性があったという。S&P500では最良取引日のうち10日を逃すだけで、10年間のトータルリターンはわずか28%にまで低下してしまう。

多くの投資家、特に経験の浅い投資家にとって、大きな下落局面では売りたいという衝動に駆られるのが自然だ。しかし、バンク・オブ・アメリカの調査によると、市場の最良の日は最悪の下げの後に来ることが多い。下落時のパニック売りは、投資家が最良の日を逃すことにつながりかねない。

Trying to time the market has been a futile affair. Chart via CNBC

同行の米国株式・クオント戦略責任者であるサヴィタ・サブラマニアン氏はこう説明する

「乱高下している時に投資を続けることは、弱気市場の後の損失を回復するのに役立つ。弱気市場の後の損失を回復するには、平均で約1100取引日かかる。」

仮想通貨の投資家、特にビットコイン(BTC)の保有者は、時間の選好率が低いことで知られている。業界のデータでは、ビットコインの流通量の60%以上が1年以上動いていないことが日常的に示されており、これはビットコインが長期的に上昇するという信頼感が高まっていることを反映している。今回の価格高騰でも、過去6ヶ月間に動いたビットコインの流通量はわずか36%だった

熟練した仮想通貨保有者である「HODLer(2013年にビットコイントーク・フォーラムでユーザーがBTCの「hold」という単語のスペルを間違えたことから生まれたミームからHODLerと呼ばれている)」は、市場のタイミングを計ることが長期的には大きな損失につながるという事実に気付いている。

株式と同様に、ビットコインは1日あたりのベスト10の取引日が、利益のかなりの部分を占めている。2017年の強気相場では、最もパフォーマンスが良い10日間でビットコイン価格は1136%という驚異的な上昇を見せた。

人工知能や機械学習のイノベーションを応用して、トレーダーのセンチメントを支援しようとする起業家もいる。その一例が、投資家がFOMOやパニックを予測して防ぐために作られたブラウザ拡張機能「Stock Cards」だ。

ビットコインの長期投資家は保有戦略の成果を得ており、2021年の上昇局面では何千人ものビットコインミリオネアが誕生したと言われている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン