米国の仮想通貨取引所クラーケンが、株式上場の可能性を視野に入れ、企業評価額150億ドルで5億ドル規模の資金調達を計画していると報じられている。

ジ・インフォメーションは火曜日、事情に詳しい関係者の話としてこの計画を報じた。クラーケンは2022年の時点で110億ドル程度の評価額とされていた。

ブルームバーグは3月、クラーケンが2026年の第1四半期にも上場を目指していると報じていた。トランプ政権下での規制環境の改善が背景にあるという。

同社は現在進行中のIPOブームに乗じ、大きな資金調達を狙っている可能性がある。すでにeToroやステーブルコイン発行企業サークルといった取引プラットフォームはIPOを通じて多額の資金を手にしている。

コインゲッコーによれば、クラ―ケンの1日あたりの取引高は約13億7000万ドルで、1100種以上の取引ペアを提供している。米国を拠点とするライバルのコインベースは、取引高が27億7000万ドル、取引ペア数は448とされている。

クラーケンの取引高 Source: CoinGecko

仮想通貨関連銘柄に資金流入

ビットコイン(BTC)の史上最高値更新を背景に、仮想通貨関連企業の株価は今年に入り大きく上昇している。投資家の仮想通貨セクターへの関心が再燃している。

米ドル連動ステーブルコインUSDCの発行元であるサークルは、6月初旬に10億ドル規模のIPOを完了し、ニューヨーク証券取引所で31ドルで取引を開始した。その後484%上昇し、火曜日の終値は181ドルを超えた。

株式と仮想通貨の取引を提供するeToro(ETOR)は、5月にナスダックで52ドルで上場し、そこから16.5%以上上昇して60.71ドルで取引を終えている。

2021年に上場したコインベース(COIN)は、2025年の年初から50%上昇しており、仮想通貨取引も提供する株式取引プラットフォームのロビンフッド・マーケッツ(HOOD)は、年初来で162%の上昇となっている。

規制緩和を受け、IPO機運が加速

クラーケンは、仮想通貨に友好的な規制環境の波を受けて、上場を検討する最新の企業となった。米国では規制当局による訴訟の取り下げも相次いでおり、業界全体にとって追い風となっている。

米証券取引委員会は、クラーケンに対して長年続けていた証券関連の違反訴訟を2025年3月に取り下げた。これは、トランプ大統領の政権下で同委員会が放棄した多くの仮想通貨関連訴訟のひとつだ。

このほか、上場を検討している企業には、フィンテック企業のリップル、仮想通貨取引所ジェミナイ、デジタル資産およびデータセンター基盤を手がけるギャラクシー・デジタル、グレースケール、ピーター・ティール氏が支援する仮想通貨取引所ブリッシュなどがある。

欧州展開も加速

クラーケンは6月、国境を越えた法定通貨および仮想通貨の送金を可能にするP2P型決済アプリ「Krak」を発表した

さらに同社は、同月に欧州連合の仮想通貨規制「MiCA」に基づくライセンスを取得し、EU域内での事業拡大が可能となったことも明らかにしている。

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