分散型取引所アトミックDEXの最高技術責任者(CTO)であるカダン・シュターデルマン氏は、仮想通貨取引所バイナンスにユーザーの資金が集中することは大きなリスクがあると考えている。

アトミックボム

アトミックDEXは、Komodo(KMD)のマルチチェーンプラットフォームの上に構築された分散型取引所だ。「業界で最も先進的なピアツーピアモバイルファーストのアトミックスワッププロトコル」であると、うたっている。

シュターデルマン氏は、コインテレグラフに対して、バイナンスのような巨大な集権化された取引所を信頼すべきでないと理由を語った。

「〔バイナンスは〕時限爆弾のようなものだと確信している。私たちは、何が起こっているかは知らないし、セキュアで安全な環境であるのか?しかし、より重要なのは、ビジネス面でこれらの資金で何が起こっているかについて透明性がないことだ。これらの資金は、ほかの事業活動に使用されているのか?この取引所の背後に投資会社があるのかどうかを知っているのか?」

集権型取引所がビットコインを保有

さらに、規制上の空白のため、ユーザーはバイナンスがその資産をどのように処理しているかについて知る権利さえないかもしれないと主張している。

「結局のところ、私たちは何かを変更したり、介入したりする権利さえないだろう。これらの資金があなたのために保管する以外の目的で使われたとしたら。なぜなら、実際の契約はないからだ。ほとんどの仮想通貨取引所には保険はない。規制や支払い能力分析を行っている企業はほとんどない」

シュターデルマン氏は、集権型取引所がユーザーのビットコイン(BTC)を保管していることにも着目している。

「しかし、バイナンスのような最大の、アルタナティブな仮想通貨取引市場のいくつかは、巨大なパワーと巨大なコントロールを持っている。そして、彼らはカストディアンだ。彼らはこれらの資金を管理している。そしてテクニカルには、彼らはこれらのビットコインを所有している」

スティーミット(Steemit)を巡る論争へのバイナンスの関与についても、シュターデルマン氏は言及し、それを「コーザノストラ」(イタリアのマフィアの一種)に例えた。

分散型取引所の将来

シュターデルマン氏は、仮想通貨取引の大部分が集権型の取引所で行われている事実を認めた上で、DEXの技術が改善されることで、この状況が変化すると期待している。

「アトミックDEXに機能を追加したことで、集権型の取引所でもそれを使用できる。将来的に、分散型取引所と集権型取引所の実際の共存し、多くの異なるDEXシステムが存在するようになるだろう。集権型取引所エコシステムからの、オーダーブックや取引高、流動性を使うことができるようになるだろう」

最近では、ユーザーが集権型取引所から自分の資産を移する傾向があるという。それでも、分散型取引所の取引高は、いまのところ、非常に少ない状況だ。DEXがすぐに支配的なプレイヤーになる可能性は低いが、集権型取引所のオーダーブックを使うことは、流動性を高めるための解決策になる可能性があるだろう。

コインテレグラフはバイナンスにコメントを求めたが、現時点では回答を受け取っていない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン