香港の事業停止した取引所が、マネーロンダリング対策(AML)を回避しようと、自社のウォレットから分散型取引所や集中型プラットフォームに資金を移動させ始めた。

ブロックチェーン分析企業サイバーズ・アラーツは2月20日の発表によれば、今月初めからアトムアセット(AAX)取引所のウォレットから2万4000ETH(約5560万ドル)が移動された。「観察されたパターンから、このアドレスはAMLツールを避けようとしている」と指摘。「さらに、取引所から出た資金の一部はテザーによってブラックリストに載せられている」という。

この発見に先立ち、AAX取引所のウォレットに関わる最後の既知の取引は2023年10月と2022年11月に行われた。事業を停止する前、AAXは200万人以上のユーザーを抱える香港で最大級の仮想通貨取引所の1つだった。

2022年11月13日、仮想通貨取引所FTXが破産を申請してからわずか2日後、AAXもカウンターパーティリスクにさらされたことを理由に出金を停止し、すべてのソーシャルメディアチャンネルを消去した。

「22年12月16日には、ウェブサイトとアプリの両方が機能を停止した」とサイバーズは記している。「当初、AAXは凍結を悪意ある攻撃への対応としてのセキュリティ対策だとしていた」。

事業停止後、AAXの元CEOであるソー・チャン氏と取締役のハオミン・リャン氏は、香港から逃亡しようとしたとして2022年に香港警察に逮捕された。しかし、AAXの創業者は行方不明のままで、2億3000万香港ドル(約2941万ドル)相当のユーザー資金と取引所ウォレットにアクセスできる秘密鍵を持って逃亡中だとされている。記事公開時点で、取引所のウェブサイトはオフラインの状態であり、ツイッターアカウントも2022年11月以降更新されていない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン