下院金融サービス委員会で米財務長官のジャネット・イエレン氏は6日、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)や政府機関への制裁を回避するため、仮想通貨が大規模な取引に使用されることはないと述べた。イエレン氏は、同委員会が毎年開催している国際金融システムの状況に関する公聴会で、デジタル資産の安全性について繰り返し質問された。

「我々は、仮想通貨が制裁を逃れるための道具として使われる可能性を明確に認識しており、それが起こらないように慎重に監視している」

ブロックチェーンが「定期的に検査」されており、大規模な取引は注意されるため、制裁を逃れるために仮想通貨を使用することは困難であるとイエレン氏は委員会に保証した。「(仮想通貨)取引所はAML/CFT(マネーロンダリング防止/テロ資金調達対策)規制の対象であり、金融システムの一部だ」とイエレン長官は指摘。「今のところ仮想通貨による重大な制裁回避は確認されていない」

財務省外国資産管理局は5日、AML/CFT規制を無視したモスクワの仮想通貨取引所ガランテックスと、ロシア語のダークネット市場ヒドラに制裁を課すと発表した。

一方で、委員が関心を示した仮想通貨関連の問題は、制裁措置だけではなかった。ビル・フォスター議員は、デジタルID認証について質問した。イエレン長官は、同省が「公的給付(と)税還付を管理していることもあり、デジタルID空間において非常に広範なエクイティを保有している」と述べ、「この議題を進めるために取ることができる行動を具体化している」と下院議員に断言した。