仮想通貨(暗号資産)投資家のアリ・ポール氏は、今後1~2年以内に、仮想通貨エコシステムの多くがホワイトリストに登録されたアドレスからの出金のみを許可すると予測している。

8月26日のツイートで、ブロックタワー・キャピタル(BlockTower Capital)の共同創設者兼CIOのアリ・ポール氏は、規制機関が追跡できる「クリーンな」コインとそれ以外とで分裂するかもしれないと予測している。

グローバルな金融規制当局は、仮想通貨取引所や仮想通貨企業に対して、より厳しいコンプライアンスレベルをますます要求するようになっている。ポール氏は、すべての大手取引所が、金融規制に準拠するためのプロセスを導入するために競争していると指摘している。

このような状況は、仮想通貨を利用したマネーロンダリングの懸念から生じているものだ。従来の取引所では既に本人確認(KYC)を導入することが求められているが、ユーザーはアカウントを作れば好きなときにウォレットから出勤することができる。

金融活動作業部会(FATF)の新しい規制により、外部に送金する取引を行った際に送金先の情報を取得するように「仮想資産サービスプロバイダー(VASP)」(取引所など)に求める「トラベルルール」が導入された。

ポール氏は、世界中の集中型取引所のアカウントが、統制と監視を備えた銀行口座と同じように取り扱われる段階が来るかもしれないと指摘している。ただ、その一方でホワイトリストに登録されたアカウントに仮想通貨を「ロンダリングする」ような新たな動きが出てくるかもしれないとも述べている。

「ホワイトリストに登録されたコインによるリアルなエコシステムと同様、それらの間に小さな抜け穴があるグレー市場も出てくると考えられる」

厳しさを増す規制は、ビットメックス(BitMEX)が8月23日からユーザー検証プログラムを始め、来年はじめまでに完了させるという発表からも知ることができるだろう。ビットメックスはこれまで、ユーザーへの規制適用については寛大な態度を取る取引所だったと見られていた。

新しい要件では、ビットメックスのユーザーは6ヶ月以内に完全な身分証明書の開示を行う必要がある。これは、顧客が銀行口座を解説するときに行う必要のプロセスと同様のものだ。

BTCのファンジビリティ問題

ビットメックスのアーサー・ヘイズCEOは、以前にコインテレグラフジャパンとのインタビューの中で、ビットコインについては「ファンジビリティ(代替可能性)のなさが問題になっている」と指摘していた

ヘイズ氏は、現状のビットコインにファンジビリティがないことを危惧している。ビットコインの取引記録を見ていれば、「汚いカネ」と「クリーンなカネ」の特定が可能だ。各国政府がこの点に目をつけ、ビットコインを「破壊」するために特定のアドレスを禁止リストに入れ始めるかもしれないとヘイズ氏は指摘していた。

「もしビットコインを壊したければ、金融サービス業者に特定のアドレスと取引するなと命令すればいい。いつか1BTCは1BTCと等価でなくなり、世界中の取引でファンジブルではなくなる。そうなればプロトコル全体が無価値になる」

ブラックリストに入っている犯罪者が”触った”ビットコインは、それ以外のビットコインと同じ価値を持たなくなる。つまり、ファンジブルじゃなくなる。言い換えると、一部のビットコインは流通から取り除かれることになる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン