ビットコインはハードフォークで匿名性を獲得 仮想通貨取引所ビットメックスCEOが予言【後編】

金融プライバシーの価値に人々が気付いたらビットコインの価値は上がるが、ビットコインのプライバシーや匿名性には改善点が多い。100倍レバレッジで知られる仮想通貨取引所ビットメックスのアーサー・ヘイズCEOは、この状況を打開するため、ビットコインはハードフォークして「完全な匿名性」を手に入れることになるだろうと予想した。

ビットコインとファンジビリティ

台湾でコインテレグラフ日本版のインタビューに答えたヘイズ氏は、「現状のビットコインは金融プライバシーの観点からはかなり悪い状態」と指摘。とりわけファンジビリティ(代替可能性)のなさが問題になっていると述べた。

紙幣・硬貨を含む現金は、資産単位が常に同種類・同単位の資産と全く等しい価値であることからファンジブル(代替可能)と言われる。例えば1万円札を犯罪者が使おうが聖人が使おうが、その1万円札はいつどこでも1万円札として利用が可能で、1万円の価値を保てている。言い換えれば、現金を見ているだけでは、「汚いカネ」と「クリーンなカネ」の特定が不可能だ

ヘイズ氏は、現状のビットコインにファンジビリティがないことを危惧している。ビットコインの取引記録を見ていれば、「汚いカネ」と「クリーンなカネ」の特定が可能だ。各国政府がこの点に目をつけ、ビットコインを「破壊」するために特定のアドレスを禁止リストに入れ始めるかもしれないとヘイズ氏は指摘。次のように続けた。

「もしビットコインを壊したければ、金融サービス業者に特定のアドレスと取引するなと命令すればいい。いつか1BTCは1BTCと等価でなくなり、世界中の取引でファンジブルではなくなる。そうなればプロトコル全体が無価値になる」

ブラックリストに入っている犯罪者が”触った”ビットコインは、それ以外のビットコインと同じ価値を持たなくなる。つまり、ファンジブルじゃなくなる。言い換えると、一部のビットコインは流通から取り除かれることになる。ヘイズ氏が危惧しているのはこの点だ。

またヘイズ氏は、ビットコインの特定アドレス禁止措置を危惧して銀行もビットコインも使っていないのではないかと話した。

「ビットコインは、そのマネーの歴史全部がパブリックで閲覧可能であるため、もし政府に許可されていない誰かが触り、そのことを証明する情報が実在すれば、(その取引にかかわった)銀行や金融機関は責任を問われる可能性が出てくる」

ちなみにヘイズ氏が「特定アドレス禁止措置」を発動する可能性がある機関として注視しているのは、米国財務省の外国資産管理室(OFAC)だ。

昨年12月、OFACはビットコイン(BTC)ランサムウェア「サムサム」に関与した疑いでイラン人2人に制裁を科した。その際、2人が使用したビットコインのアドレスを公表。「デジタル通貨のコミュニティーがブロックしなければならない資金と取引を特定」するために「これらのアドレスが使われるべきだ」と述べた

(台北でビットコインのハードフォークについて語るビットメックスのアーサー・ヘイズCEO)

ハードフォークで「匿名性」を獲得

とは言っても、ヘイズ氏にとってビットコインは圧倒的なユーザー層、開発者の層、組織の数から最も有望。上記のようなファンジビリティ問題解決のため、ヘイズ氏は、将来的にビットコインはハードフォークをして完全な匿名性を獲得する必要があるだろうと話した。

「どの暗号技術が健全なのかは分からないよ」と前置きしつつも、ヘイズ氏は、匿名通貨のモネロやジーキャッシュ、ダッシュなどのうちどれか1つで成功した技術をビットコインがハードフォークで追加するだろうと述べた。

「ビットコインのファンジビリティが侵食される中、過去に(犯罪者によって)触れられたビットコインのアドレスが流通からなくなるに従い、人々はビットコインがゆっくりと殺されていることに気づく。そして、そこから解放するため、ハードフォークして本当の意味で匿名性のあるビットコインを手に入れることになるだろう

【関連記事:仮想通貨ビットコインの普及、”アジアが本命”の理由とは?ビットメックスCEOが語るプライバシーとアジア【前編】

文 Hisashi Oki
編集 コインテレグラフ日本版