ブロックチェーン企業リップル社が主催する大型カンファレンスSWELLまで10日。クロスボーダー(国をまたいだ)送金市場で存在感を発揮するリップルがどのような発表をするのか。XRP保有者だけでなく仮想通貨市場全体が注目する一大イベントだ。

去年は、XRPを使う決済サービスxRapid(現ODL)の商用化などが発表された。

XRP基盤の取引サービスを手がける取引所コインフィールド(Coinfield)のボブ・ラスCEOは「今回の参加者を見れば去年とは比較にならないほどすごい」と指摘。今年のSWELLはリップル社にとって「ゲームチェーンジャー(試合の流れを変える一手)になり、ワクワクするようなパートナーが発表されるだろう」と予想した。

また、サプライズ要因として、XRPの大口投資家で様々なブロックチェーン事業に投資するセス・リム氏は、ユーチューバーを活用するプログラムが発表されるかもしれないと予想した。

ユーチューバー招待の意味

リム氏によると、今年のSWELLには複数のXRPユーチューバーが招待されている。これはいったい何を意味しているのか?リム氏は、「XRPアンバサダー・インセンティブ・プログラムの発表が、可能性は小さいが、あるかもしれない」と述べた。

リム氏は、2つのパターンが考えられると解説。1つ目は、ユーチューバーを使ってローカルでのミートアップやセミナーの開催をシステム化することだ。

「成功した人には報酬を与えるポイントシステムみたいなものが考えられる。リップルは何も払わないが、ブランド力が向上したら恩恵を受ける。」

またユーチューバーを使って「オンラインのリソースを使ってXRPの基本について『教育』を施す」などの方法も考えられるという。

2つ目は、「リップル・コミュニティー委員会」を立ち上げ、地域ごとに代表を選ぶという案だ。「リップル社との間に入り、(コミュニティーからの)提案や懸念をリップルに伝える役割を担う」。無償のポジションであるが、リップル社が経費を払ってミーティングやイベントを開催するなどの方法が考えられるという。

リム氏は、ユーチューバーの活用可能性について次のように論じた。

「リップルのターゲットは銀行であり、彼らのフォーカスは正しい。しかし私は、XRPアーミーとして知られる熱心で積極的なXRPファンの力を使わないのは、単純にビジネス的にリソースの無駄であり、機会損失と感じざるを得ない。

マネーグラムとの進捗

リップル社は今年6月、米国の送金会社マネーグラムに出資し、戦略的な提携関係を結んだ。リム氏とラスCEOは、SWELLでマネーグラム提携の進捗について発表されることを期待している。

リム氏は、新興国から先進国に教育と仕事を求めて移民が増える中で世界のデジタル通貨送金の市場規模は6000億ドル(約65兆円)に膨らんでおり、マネーグラムはその中でもグローバル展開をしていると指摘。次のように述べた。

「私は、マネーグラムのアレックス・ホームズCEOがリップルのODLテスト結果をシェアして、今後のデジタル送金サービスのプランを明かすことを期待している。

ラスCEOもこの意見に同意。マネーグラームとの提携は、「リップルが2019年に起こした賢い動きの1つ」とし、「リップルのゴールはSWIFTに取って代わることであり、マネーグラムはそのプロセスで重要な役割を担う」と期待を寄せた。

リブラ崩壊の恩恵?

このほか、リップル社がリップルネットへの新たなパートナーを発表することも期待されている。とりわけリム氏が注目したのは、ペイパルやストライプなどフェイスブックのリブラ協会から離脱した企業だ。リム氏は、「彼らにとってリップルは魅力的なエコシステムだと思う」と述べた。

またリム氏は、xRapidの名前をODL(オン・ディマンド・リクイディティ)に変更した意図などをはっきり説明することが、潜在的なパートナーにとってプラスになると付け加えた。

一方、ラスCEOは、リブラ離脱企業がパートナーになると思うか?との質問には、「そうだったらいいな」と笑いながら答えた。同CEOは、リップルは銀行との関係強化に焦点を当てる一方でリブラは個人を対象にしていると指摘し、「可能性0とは言いたくないが、実現するとは思わない」と話した。

 

SWELLの前後はXRPの値動きも注目されがちだ。しかしラス氏にとって大切なのは短期の値動きではなく、「新しいプロダクトを開発し続けること」だ。ラス氏は次のように述べた。

「もしXRPが0.1ドルになったとしたら、私は全てのXRPを買う最初の人物になるだろう」