イーサリアム(ETH)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアム2.0への51%攻撃が「致命的」になるという懸念を強く否定した。

このシナリオは、Yearn.Finance(ヤーン・ファイナンス)のyETHボルト(Vault)への人気が急上昇し、初日に137,000ETH以上を集めたために浮上したものだ。アーケイン・アセット(Arcane Assets)の最高情報責任者であるエリック・ウォール氏は、これはyETHボルト管理者がおそらく理論的にイーサリアム2.0への攻撃を開始するのに十分なETHをコントロールすることになるのではないかと指摘した

「このスレッド:yETHボルトのストラテジストが、yETHがETH2.0のPoSへの67%攻撃に十分なステークをコントロールできるという事実を活用できるかを、おもしろく考えてみる」

しかし、イーサリアムのブテリン氏は、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)ネットワークであるETH2.0をターゲットとする51%攻撃に関連するリスクは「致命的」ではないと強調する。悪意のあるアクターが「一度は攻撃する可能性があるかもしれない」が、しかしその攻撃はすぐに倒されるか、ソフトフォークで攻撃を維持するために必要なコインをコントロールできなくなると断言した。

PoSをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と比較する中で、ブテリン氏は51%攻撃がPoWネットワーク(ビットコインやイーサリアム1など)にもたらすリスクの方を指摘した

「一方、PoWでは、成功したい攻撃者は何度も攻撃でき、ほかのすべてのハードウェアを削除せずに〔攻撃者の〕ハードウェアを削除することはできない。これは、PoWよりもPoSが過小評価されている重要な基本的アドバンテージだ」

PoWを採用しているイーサリアムクラシック(ETC)は先月、複数回にわたって51%攻撃を受け、ネットワークのセキュリティに対して大きな懸念を引き起こしている。

しかし、仮想通貨コミュニティの中では、正しいフォークを特定することの難しさやメインチェーンをコントロールしている点を指摘し、ブテリン氏の主張に対して懐疑的な見方をする声もある。

しかし、ソーシャルファイナンスプラットフォーム「リアルビジョン(Real Vision)」のセバスチャン・ムーンジャワ氏は、DeFiでの競争が激化しているため、51%攻撃のリスクは時間の経過とともに減少していくはずだと説明している

「競争は激しくなる。自由市場は、これが存在する可能性を弱めることになるだろう。より多くの人々が構築する。ユースケースが多いほど、このリスクは少なくなる」

yETHボルトはイーサリアムをロックすることができ、そしてプロトコルが自動的に最適な金利戦略に切り替えていく。yETHをローンチしたYearn Financeは、DeFi市場の中で6番目に人気のあるプロジェクトだ。DeFi Pulseによると、Yearn Financeのプロトコルでは8億7600万ドルの資金がロックされている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン