米財務省は、北朝鮮が主導するとされるIT労働者ネットワークに関与した関係者2名と4つの法人に対して、新たに制裁を科した。これらのネットワークは、仮想通貨関連企業に潜入し、悪用することを目的としていたとされる。
米財務省外国資産管理局(OFAC)は7月8日、北朝鮮籍のソン・クムヒョク氏を制裁対象に指定した。ソン氏は米国市民の個人情報を盗み、その個人情報を偽名として外国人IT労働者に提供し、米企業への就職活動に利用させていた疑いがある。
また、ロシア国籍のガイク・アサトリアン氏も制裁対象となった。同氏は自らの企業を通じて、2024年以降に北朝鮮の貿易会社と締結した長期契約に基づき、多数の北朝鮮人IT労働者を雇用していたとされる。
グーグルが4月に発表した報告書によれば、北朝鮮に関連する偽装IT労働者の活動は拡大を続けており、関連インフラは世界中に広がっているという。
財務省のマイケル・フォークレンダー副長官は、「北朝鮮がデジタル資産の窃盗や米国人の偽装、悪意あるサイバー攻撃を通じて制裁回避を試みていることに対し、財務省はあらゆる手段を使って対抗していく」と述べている。
数千人規模のIT労働者を国外に派遣
OFACによれば、北朝鮮は弾道ミサイル開発の資金調達を目的に、中国やロシアを中心とする海外に、数千人規模のIT労働者を派遣しているという。
これらの労働者は、富裕国に拠点を置く企業を標的とし、一般的なビジネス系SNSや業界特化型のネットワーキングプラットフォームを通じて雇用先を見つけているという。
制裁により、アサトリアン氏、ソン氏、そして名指しされたロシア法人4社に関連する全ての米国資産は凍結され、米国内の個人や法人がこれらの対象と金融取引やビジネスを行うことは、民事および刑事罰の対象となる。
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北朝鮮、ハッキングから偽装工作へと戦術を転換か
北朝鮮は「ラザルス・グループ」などを通じた大規模ハッキングで知られており、2025年2月には15億ドル相当のバイビットからの流出事件を引き起こしたとされる。
しかし、ブロックチェーン分析企業TRMラボは7月8日、北朝鮮が戦術を転換しつつあるとの見解を示した。
「取引所への侵入も依然として大きいが、北朝鮮に関連する活動は、IT労働者による潜入など、欺瞞工作を利用した収益獲得手法にシフトしている」と同社は述べている。
TRMラボの推計によると、2025年上半期に発生した75件の仮想通貨ハッキングと不正流用事件で奪われた21億ドルのうち、16億ドルは北朝鮮に関係する攻撃者によるものと見られる。
米国、偽装IT労働者への摘発を強化
米国当局は今年に入り、北朝鮮による偽装IT労働スキームへの取り締まりを強化している。
6月30日には、米国およびセルビアのブロックチェーン企業でリモートワーカーとして潜入していた北朝鮮国籍の4人が、通信詐欺および資金洗浄の容疑で起訴された。
さらに6月5日には、米司法省が、偽名を用いた北朝鮮のIT労働者がブロックチェーン企業でリモート契約者として得たとされる仮想通貨のうち、774万ドル相当の資産を押収すると発表している。
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