1月30日開催の米国議会公聴会において、トム・エマー共和党議員は、デジタル決済に関する批判・規制が技術革新を遅らせかねない点について、懸念を表明した。

エマー議員は、米議会下院の金融サービス委員会のひとり。「価値移転のための新しい方法を日々考え出ている、才能ある若者たちがいる」と話し、「我々は、その起業家精神と、彼らが生み出す進歩を打ち砕くのではないかと心配している」と明かした。

デジタル決済に関する公聴会

フィンテック関連のタスクフォースが、「現金はまだ王様か? モバイル決済の台頭を再検討する」と題した公聴会を1月30日に開催した。

このタスクフォースは、米議会下院の金融サービス委員会メンバーなどで構成されており、デジタル決済に関する専門家と議論を行った。専門家の顔ぶれは、ペイパルの公共政策部門責任者ウスマン・アーメド(Usman Ahmed)氏、320以上の金融機関・決済ネットワーク事業者・消費者団体などが加盟する「米ファスター・ペイメント・カウンシル(FPC。米高速決済評議会)」の代表キム・フォード氏、米月刊誌「コンシューマー・レポート」の上級政策顧問を務める弁護士クリスティーナ・テトロー(Christina Tetreault)氏などだ。

仮想通貨の弁護を依頼

エマー議員は、テトロー氏への質問の後、最終的にはさまざまなユースケースにおいて利用可能な仮想通貨を支持するコメントを述べた。

同議員は「あなたはフェイスブックのリブラだけに言及したが、これらイノベーションについて、さらに詳しく検討してもらえるとうれしい」と話した。また「彼らは、金融資産を築いただけでなく、政府による管理とは別に、個人が自分自身で資産の価値を管理できる機会を提供している」と述べた。

エマー議員は、ビットコイン、イーサリアム、XRP(リップル)、EOS、モネロ、ジーキャッシュなど多数の仮想通貨を挙げ、それぞれの異なる用途を指摘した。

規制に関するテトロー氏の立場

公聴会後にテトロー氏に取材したところ、タスクフォースは弁護士である同氏の専門知識を引き出せなかったようだ。同氏は「私は、2000種近い仮想通貨のすべてに詳しいわけではなく、仮想通貨の法的な問題について集中できないことに失望した」と明かした。

しかし、規制当局および仮想通貨の接点を増やすことには関心があると説明した。

「様々な種類の仮想通貨、デジタル資産、金融以外へのブロックチェーン利用へのアプローチを標準化する方法に取り組んでいる優秀な人々がいる。

現在、それ(規制当局と仮想通貨間)は完全に混乱している。(お互いが理解できるよう)合意された用語・定義が不足しており、消費者保護に取り組む立場として最も心配している問題への対処、つまり、『あなたのお金は安全で、何か問題が発生しても取り戻せる』といえる健全な法的アプローチを見つけるのは困難だ」

公聴会は約2時間続き、出席したメンバー間の多数のトピックと懸念について話し合われた。

なおコンシューマー・レポートは1月29日、テトロー氏が公聴会に参加する旨を発表。テトロー氏は、公聴会の内容に関連するレポートを30日に公開している。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版