米財務省のウォーリー・アデイエモ副長官は、仮想通貨分野での不正行為者を追求するために新たな制裁ツールの検討に取り組んでいるとし、バイナンスとの最近の和解を引き合いに出した。
11月29日にブロックチェーン協会のポリシーサミットに向けて準備された原稿で、アデイエモ氏は、米財務省が制裁対象企業を金融システムから完全に切り離すことができる制裁を認めるよう、議会に要請したと述べた。副長官は、この動きがハマスなどが「デジタル資産エコシステム内で安全な避難場所を見つけることを阻止する」ことを目的としていると言い、バイナンスとの和解にも言及した。
「バイナンスは数年にわたり、児童性的虐待、違法な麻薬取引、テロリズムに関与する者たちに利用されてきた。その取引は10万件以上にわたる」とアデイエモ氏は語った。「ハマス、アルカイダ、ISISといったグループがこれらの取引を行っていた」。
アデイエモ副長官によれば、米国政府は金融セクターの企業と協力し、マネーロンダリング、詐欺、テロ資金調達と闘うための情報共有を行う必要がある。また、米国外に拠点を置くステーブルコイン提供者がが「こうしたギャップを埋める」ための標的になる可能性を示唆した。
アデイエモ氏の発言は、米財務省外国資産管理局(OFAC)が、北朝鮮に拠点を置くラザルス・グループの資金洗浄を容易にしたとして、仮想通貨ミキサーのシンバッドに制裁を科した日と同日に行われた。11月21日、バイナンスは、元CEOのチャンポン・ジャオを辞任し、同氏が銀行秘密法違反での有罪を認め、そして43億ドルの支払で財務省などの米国当局と和解した。
「今日直面している課題に合わせて、不正金融に対する当局の手法をアップデートする必要がある。2023年に直面する不正金融リスクに対処するために、数十年前の法的定義に頼ることはできない」とアデイエモ氏は語った。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン