米財務省外国資産管理局(OFAC)は、仮想通貨ミキサーのシンドバッド(Sinbad)に対し制裁を科した。このプラットフォームが北朝鮮のハッキンググループ、ラザルスによる資金洗浄に関与しているというのが理由だ。

OFACは11月29日の発表で、シンドバッドが「ラザルスグループの窃盗行為から得た数百万ドル相当の仮想通貨を処理した」と指摘している。これには2022年6月のホライゾンブリッジ、2022年3月のアクシーインフィニティのローニンブリッジ、2023年6月のアトミックウォレットへのハッキングが含まれ、被害総額は約8億2000万ドルにのぼる。

「ラザルスグループのような犯罪者が盗んだ資産を洗浄するために利用するミキシングサービスは、厳しい結果に直面する」と財務省のウォーリー・アデイエモ副長官は語った。「財務省と米国政府のパートナーは、シンドバッドのような仮想通貨ミキサーが不正行為を容易にするのを防ぐために、利用可能なすべての手段を動員する用意がある」。

11月29日時点のSinbad.ioのスクリーンショット

11月29日時点で、米司法省、連邦捜査局(FBI)、オランダの財務情報・捜査局、検察局、フィンランドの国家捜査局がシンドバッドのウェブサイトを閉鎖している。財務省は、制裁の目的は「罰することではなく、行動の積極的な変化を促すことにある」と付け加えた。

OFACは以前にもトルネードキャッシュやブレンダーなどの仮想通貨ミキサーに制裁を科しており、前者についてはラザルスによる資金洗浄に関与したと財務省が述べている。セキュリティ企業エリプティックは2月に、オンチェーン上のプロセスに基づき、シンドバッドとブレンダーが同一である可能性が「非常に高い」と報告している。これは制裁を回避するためのリブランディングの可能性があるという。

シンドバッドへの制裁が仮想通貨の投資家にどのような影響を与えるかは不明だ。トルネードキャッシュに対する措置の後、仮想通貨取引所コインベースの支援を受けたグループが米財務省を提訴し、政府機関が権限を超えたと主張した。要約判決の動議で裁判官は財務省を支持したが、ユーザーは11月に控訴を行った

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン