米商品先物取引委員会(CFTC)は9日、今後4年間の戦略を最終決定した。その中で仮想通貨(暗号資産)について包括的な規制の策定を優先事項とした。
新戦略では「デジタル資産における責任あるイノベーションを促進するための包括的フレームワークを開発する」と記載。仮想通貨を「コモディティ」とみなすとした。
新フレームワークの開発はCFTCのヒース・ターバート委員長の任期である2024年までを目標としている。
さらにリリースの中では近年のデジタル資産のデリバティブ市場におけるデジタル取引の進展を賞賛している。
「金融市場は新しい技術を迅速に採用し、デリバティブ市場は驚異的なデジタルへの変革を経験している」
CFTCは仮想通貨の規制フレークワーク策定において、「政策決定の透明化」や「不必要な規制負担の削減」を掲げている。
仮想通貨規制におけるCFTCの役割
CFTCはデリバティブ市場の規制や執行、商品取引における詐欺行為や市場操作を管理している。本日発表されたように、最近では米国取引所にイーサ先物が追加されるなど「デジタル資産に関連する先物を専門にする取引所」が管轄下に入ってきている。
7日にはターバート議長は米証券取引委員会(SEC)と協力して仮想通貨のガイドライン策定の重要性にコメントした。これと同様に、新ガイドラインでも「CFTCとSECが共に協力しながら管轄する市場参加者のための規制に取り組む」ことを目的としている。
ターバート氏は、CFTCと別の規制当局である証券取引委員会(SEC)との間の違いについて概説し、注意を払う必要があると述べた。
デジタル資産が証券かどうかであるの決定は「SECの権限」であるとターバート氏は説明した。「それが証券ではないと彼らが判断したのであれば、私たちはそれを私たち自身の範囲内のものとして取り扱うことができる」と述べている。
「何かが証券かそうでないかがより明確になり始めれば、デジタル資産でより多くの先物がリストされるのを見ることになるだろう」
現在、ビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)はどちらも米国では商品として分類されている。そのため、BTCとETHの先物契約が米国内で合法的に利用できるようになっている。ETHの場合、今年5月に仮想通貨取引プラットフォームのエリスX(ErisX)がETH先物取引を米国で開始している。
ターバート氏は、以前にも仮想通貨規制の問題について言及している。
今年6月15日にハーバードビジネスローレビューに掲載された論稿の中で、ターバート氏は仮想通貨に特化した規制ではなく、より広範な原則に基づいた金融規制を提唱している。
ターバート氏は、より少ない規制の中で、イノベーションを推進していく原則について触れている。CFTCが「テクノロジーと市場の変化により迅速に対応することにより、時代の先を行く」と、ターバート氏は表明している。
ターバート氏は、柔軟性とイノベーション推進に加え、「原則に基づく規制は、法律の遵守に対する『抜け穴』的行動と、『チェックリスト』スタイルのアプローチを防ぐことになる」とも書いている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン