米トランプ政権が15日に発表した、国家安全保障会議(NSC)の報告書に記載された重要技術リストの中に、分散型台帳技術(DLT)が盛り込まれた。このリストは米国が国家安全保障上、海外への技術流出を阻止することが目的の一つとされ、DLTの他に人工知能(AI)や量子情報科学、半導体など20項目が含まれている。

リストに掲載された情報は軍事、情報、経済の観点から海外への情報流出を阻止するために、ガイドラインに基づき保護される。

ウォールストリート・ジャーナルによると、このリストには、これらの技術が中国やロシアなどの敵対国に渡ることを防ぐ方法について、政府機関に対して特定のガイドラインを示した報告書も添付されたという。

報告書には「中国は科学技術の世界的リーダーになるために多額の資源を投入しているだけでなく、技術の盗用を含む手段を用いて、米国と同盟国の力の源を狙っている」と中国を牽制。さらに「ロシアは、高度な科学技術の開発を国家安全保障上の優先事項と考えており、軍事や情報プログラムを含む国家レベルの取り組みを支援するために、さまざまな許可された、または違法な技術移転メカニズムを採用して、米国の技術を標的にしている。」とした。

今回のような、中央政府が連邦政府機関に技術保護の動きは初めてという。こうした技術保護はこれまで国務省や国防省、商務省といった各部門に委ねられていた。ウォールストリート・ジャーナルは匿名の政府高官の「これまでになかった、政府全体による取り組みだ」というコメントを引用した。

報告書の中では連邦政府機関やその他団体が技術をどのように保護すべきかも記載。民間企業に対しては国家安全保障の影響を考慮するよう求めたほか、どの技術を米国外に出すことが可能かを規制する輸出管理システムについても記載された。

このリストは毎年更新されるという。