ウクライナ国立銀行(NBU)は、ロシア侵攻に対する1年間におよぶ戦争の中、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨に対して複雑なスタンスを示している。

NBUによると、ウクライナ中央銀行はデジタル資産に良い面と悪い面の両方を見ており、侵略による金融・経済問題のため、仮想通貨に対してより慎重なアプローチを取っている。

2022年4月、NBUは国民が自国通貨であるフリヴニャ(UAH)を使ってビットコインなどの仮想通貨を購入することを禁止し、外貨口座経由での購入のみを許可した。中央銀行はまた、このような購入に月間制限を設け、ウクライナ人が1カ月に10万UAH(3,300ドル)相当以上の仮想通貨を購入することを禁止した。この制限は、国境を越えたピアツーピア(P2P)取引にも適用される。

NBUの広報担当者がコインテレグラフに語ったところによると、ウクライナにおける仮想通貨取引に関する行政上の制限は一時的なものだという。制限は「ウクライナの経済と金融市場の機能が正常化するにつれて徐々に弱められる」とNBUは付け加えた。

「国立銀行は、仮想資産の公正かつ効率的な流通の発展に寄与する、透明で理解しやすい規制のシステム構築に参加している」とコメントしている。

規制当局によると、現在の制限は、外国為替市場を安定させ、マクロ金融の安定を維持するために、ウクライナにとって必要なものだという。

「仮想通貨による取引は、通貨規制を回避するために使用される可能性があり、特に、非生産的な資本が国外に流出する経路として、マクロ金融の安定に脅威を与えている」とNBUは述べている。

ウクライナの中央銀行は、「自国通貨の代用と並行通貨流通の出現」というリスクも見ている。NBUによると、こうしたリスクは戦時中に特に高く、規制当局の効果的なコントロールが及ばない。「これは国家の通貨主権に脅威を与える可能性がある」と、NBUの広報担当者は指摘する。

「このようなリスクを最小化するため、特に本格的な戦争中に、国立銀行は、ウクライナにおける唯一の法的支払手段であるフリヴニャの適用範囲を狭めることを防ぐために、強い立場をとっていく 」

戦時中は仮想通貨に対して慎重なアプローチを取っているが、ウクライナの中央銀行はデジアル資産に関連する技術革新に強気である。NBUによると、金融サービスへのアクセス向上、決済サービス分野での競争、投資の誘致、仮想通貨による寄付など、仮想通貨にまつわる多くの取り組みがあるという。

そのため、中央銀行は「ウクライナにおける仮想資産市場の発展のための条件」を整える必要性を支持している、とNBUは述べている。