トランプ大統領が今週発表した2021会計年度(20年10月~21年9月)の予算教書を発表し、仮想通貨関連の犯罪対策を強化することなどを名目にシークレットサービスの配置換えを行う方針を示した。

シークレットサービスといえば、これまで米国政府関係者やその家族を外敵から守ることが任務であり世間でもそのイメージが定着している。しかし、実は1865年に設立された時は、偽造通貨の撲滅に取り組む機関で2002年までは財務省の一部だった。その後、米議会がシークレットサービスを国土安全保障省に移動させた。

トランプ大統領の予算教書では、シークレットサービスを国土安全保障省から財務省に戻すことが示された。

「仮想通貨や世界の金融市場のつながりの深まりなど、ここ数十年での技術発展により犯罪組織が複雑化し、金融系の犯罪、電子系の犯罪、ごろつき国家への資金援助のつながりが深まった」

シークレットサービスのホームページにも、ミッションが偽造通貨の撲滅から「米国の金融と支払いシステムを幅広い金融とコンピューター系の犯罪から守ること」に進化したことが記されている。

シークレットサービスの新たなミッションは、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の管轄と同じである。トランプ政権は2つの機関が1つの分野を担当することで「新たな効率性」が生まれることを期待している。

米国のスティーブン・ムニューシン財務長官は、2月12日に米議会上院の金融委員会で、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)がまもなく仮想通貨に関する新たな規制を発表することを明かしていた

米政府の動きを警戒

実は、米国政府の規制強化が仮想通貨業界にとって一番の問題とみる専門家は少なくない。

ファンドストラット代表のトム・リー氏は、昨年10月、「ホワイトハウスや議会がリブラのせいで仮想通貨に対してますます敵対的になっている」と話していた

またブロックチェーン分析企業メサーリのライアン・セルキス氏は、ムニューシン財務長官の発言にあったように金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)がマネーロンダリング(資金洗浄)対策を主眼に仮想通貨ウォレットに対して「不可能なほど抑制的な規制」を施すのではないかと警戒している

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翻訳・編集 コインテレグラフジャパン