仮想通貨資産マネジメントのレジャーXのポール・チョウCEOが、仮想通貨メディアThe Blockのインタビューに答え、「2019年にイーサリアム(ETH)のデリバティブ取引が始まる可能性はせいぜい五分五分」という見解を示した。市場関係者の間では、2017年12月のビットコイン先物取引に続いてイーサリアム先物取引開始への期待が高まっており、中には「ビットコインにとってプラスになる」という見方も出ていた。
記事によると、レジャーXはイーサリアムのオプション取引の準備ができているが、CFTC(米商品先物取引委員会)の認可待ちの状態が続いている。CFTCは先月、市場参加者に対してイーサリアムとイーサリアムのデリバティブ市場のリスクに関する情報提供を呼びかけた。期限は2月中旬となっているが、その後CFTCがどういったスケジュールで決断を下すかは分からないという。
オプション取引は、将来の決められた日にち(満期日)にあらかじめ決められた価格で買う(売る)「権利」を売買する取引で、先物取引は一定額の証拠金(保証金)を担保に一定期間先の「売買」を現時点で確約する取引。双方ともデリバティブ取引の一種だ。
以下がイーサリアムのデリバティブ取引開始をめぐる不透明要因だ。
イーサリアムのPoWからPoSへの移行
イーサリアムは取引承認に向けたコンセンサスアルゴリズムをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からエネルギー効率の良いプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ段階的に移行する方針。しかしThe Blockによると、CFTCにとってPoSの解釈が課題になっているという。
The Blockの取材に応じた仮想通貨コンサルのジェフ・バンドマン氏によると、CFTCは「イーサリアムが嫌いなわけではない」ものの、次のような懸念を抱くのではないかとみている。
「ビットコインからPoWネットワークについては理解しているが、PoSには新たな疑問を持つだろう。とりわけ、リスクは何か?という点だ」
「中央集権的」なイーサリアム
イーサリアムは中央集権的だという懸念も未だにくすぶっているという。昨年6月、米証券取引委員会(SEC)のコーポレーションファイナンス担当のディレクター、ウィリアム・ヒンマン氏が、「現在の状態ではイーサリアムは証券ではない」という見解を出した。しかし、The Blockのインタビューに答えたアナリスト、アルジュン・バラージ氏は、このSEC高官の発言にも関わらずイーサリアムの中央集権化には多くの疑問が投げかけられると述べた。
「イーサリアムのICOの実態や(ジョセフ・ルービンのような)内部の人間の獲得額など単純な疑問が今日まで答えられないままになっている」
イーサリアムの共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、昨年7月、「イーサリアムの当初の資金調達が証券の発行とみなされる可能性はまだある」とコインテレグラフ日本版の取材に対して答えていた。またSECのジェイ・クレイトン委員長は、昨年9月、「全てのスタッフの声明は拘束力のないもの」という見解を出した。
米政府機関の一部閉鎖
まもなく1カ月目に突入する米国の政府機関の一部閉鎖もCFTCの判断プロセスに影響を与える可能性があるだろう。インターコンチネンタル取引所が手がけるバックトは、現在、ビットコイン先物取引の準備を進めているが、政府機関の一部閉鎖が続けばCFTCの手続きが発生するという見方が出ている。
先物取引とは、一定額の証拠金(保証金)を担保に、一定期間先の売買を現時点で確約する取引。証拠金に対して数倍の取引(レバレッジ取引)を行うことも可能。確約された期日(SQ日)までに反対売買される必要がある。価格変動リスクのある商品に対して将来の安定した売買を約束することで市場の混乱を避けることを目的に開発された取引である。
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— コインテレグラフ⚡仮想通貨ニュース (@JpCointelegraph) 2018年10月31日
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