コインゲッコーが3月21日に発行した2024年レポート「仮想通貨における現実資産の台頭」によると、2023年に米国のトークン化国債市場は641%という驚異的な成長を遂げたことがわかった。
この成長は、伝統的な金融機関の参入によって促進されたと考えられている。
2023年1月には1億1400万ドルだったトークン化国債市場は、年末までに8億4500万ドルにまで拡大した。これは、米国財務省証券を表すブロックチェーンベースのデジタルトークンが1年間で641%の成長を遂げたことを示している。
トークン化証券とは、株式や債券などの現実資産(RWA)を裏付けとしたデジタルトークン。例えば、オンド社の短期米国政府債券ファンドは、OUSGトークンを使用してファンドのシェアとその収益の所有権を表している。

コインゲッコーによると、現在最大のトークン化国債発行者は資産運用会社フランクリン・テンプルトン。同社は「フランクリン・オンチェーン米国政府マネーファンド(FOBXX)」を通じて3億3200万ドル相当のトークンを発行しており、これは市場全体の38.6%を占めている。
フランクリン・テンプルトンは、1月に米国でビットコイン現物ETFを立ち上げた10のETF発行者のうちの1つ。また、イーサリアムETFの立ち上げにも意欲を見せており、2月12日に米国証券取引委員会(SEC)に申請を行っている。
フランクリン・テンプルトン以外にも、米国債を裏付けとした利回り付きステーブルコインを提供するプロトコルも人気を集めている。コインゲッコーのレポートによると、マウンテンプロトコルのUSDMトークンは、2023年9月の立ち上げ以来、2万6000ドルから1億5400万ドルにまで成長している。
トークン化国債は主にイーサリアムネットワーク上で発行されている。コインゲッコーのレポートによると、57.5%のトークンがイーサリアム上に存在する。一方、フランクリン・テンプルトンやウィズダムツリープライムなどの企業はステラブロックチェーン上でトークン化証券を発行しており、ステラの市場シェアは39%となっている。
2023年に急成長したトークン化国債市場だが、2024年に入ってからは成長が鈍化している。2024年1月のトークン化国債の成長率は1.9%にとどまり、2月1日時点の時価総額は8億6100万ドルとなっている。

トークン化国債に加えて、商品を裏付けとしたトークンも注目されている。2月1日時点の商品裏付けトークンの時価総額はすでに11億ドルに達しており、テザーゴールド(XAUT)とPAXゴールド(PAXG)がトークン化貴金属の83%の市場シェアを占めている。
さらに、ウランをトークン化する新しいプロジェクトも始まっており、デジタルトークンでウランを交換することが可能になる見込みだ。