Zcashのプライバシーコントロールで25万ドル進呈！「zk-SNARKSコンテスト」堂々開催

現在開発中のある「最も完全な」分散型ブロックチェーンプロジェクトが、優秀なzk-SNARKS開発者を数名募集している。

いや、実際には数名以上というのが正しい。

フリーTONのブロックチェーンコミュニティは、最新のコンテストで「TON Crystalリワード」として25万ドルを確保し、開発者たちにフリーTON向けのZcashプライバシーコントロールの開発協力を募っている。

7月1日まで開催されるこの「Groth16 zk-SNARK Proof Verification Use Cases」コンテストは、TON仮想マシンにゼロ知識証明を搭載するために数回にわたって行われる予定のコンテストの第1ステージだ。10名の勝者に、首位は8万、2位は6万、10位は5,000という形で総計32万TONが分配される。

コミュニティが選定した専門家たちが陪審員となり、リワードを分け合う勝者が選ばれる。これはコミュニティがプロジェクトを統治するプロセスの一貫であり、管理基盤は特に設けられていない。中央集権的に分配される助成金やコントラクトよりも優れたシステムだと考えられており、とりわけこのようなコンテストでは数々の実用的なソリューションが生み出されることが多い。

これはまさにコミュニティが欲している結果で、zk-SNARKSの専門家が参加するもうひとつの理由でもある。コンテストの説明では、「このコンテストはフリーTON開発者コミュニティを鼓舞し、テスト目的で既存のツールを試したり、クラウドソーシングで単純なZKPユースケースを募ることを目的とした一連の“ZKPコンテスト”の第1ステージ」であるとうたわれている。

誕生当初から「分散型」

コンテストを中軸に据えたフリーTONの開発戦略は、フリーTONの半ばイレギュラーともいえる誕生の過程をもとに成長してきたもので、コミュニティはこれまでさらなる開発に向けて独創的なアプローチを取ってきた。

極めてスケーラブルで安全なフリーTONブロックチェーンは、独自の動的シャーディングにより毎秒数百万のトランザクションを処理することができる。これはそもそも、裁判所の差し止め命令により打ち切りとなったTelegram Open Network（TON）ブロックチェーンプロジェクトを救済するために17名の個人開発者が集まった結果として生まれたものだ。

このため、フリーTONは発足当初から、他のプロジェクトの大半が理想とする「分散型コミュニティによる統治」を実現していた。

結果として、50億のTONトークンはすべてコミュニティにより保有され、コミュニティが運営・審査するコンテストにより分散化される。トークンを販売せずに、メンバーの貢献に対して報酬を与えることでネットワークを成長させる仕組みだ。これまで、バリデーター、開発者、パートナーに5億7,000万枚が分散されている。

フリーTONはHypercoreやスマートコントラクトのデバッガーからオンラインオークションの実装、Crystal Walletの設計まで、さまざまなトピックで数百のコンテストを開催してきた。中には技術に特化していないコンテストもあり、フリーTONビジュアルブランドコミュニケーションコンテストはミームを含む5つのテーマで開催された。

コンテストは優秀な開発者の誘致に効果を発揮し、これまでRSquad、Broxus、Origin Labsといったトップクラスの開発チームがコンテストに参加してきた。

これは実際に結果を生んでおり、5月25日、フリーTONはブロックチェーンのイノベーションに貢献したとしてAIBC Dubai Summitアワードを受賞している。

プライバシーは今や「権利」

とはいえ、フリーTON開発の中核であるTON Labsのシニアコミュニティマネージャーを務めるBen Sunderland（ベン・サンダーランド）氏は語る。「プライバシーはコミュニティにとって特に重要なテーマで、匿名性は犯罪者だけのものではないという考えが強く浸透している。」

「自分自身のデータを取り戻すためには、まず、データを他人の目から守ることが必要だ。自分のトランザクションを非公開にするかどうかは個人の自由であるべきで、このコンテストはフリーTONが世界における“無政府型の分散型プロジェクト”を突き動かす力となることを意味している。」

フリーTONが掲げる来年の目標の中でも、プライバシーは大きな役割を果たすだろう。特に、ウェブサーバーを使用しないエンドツーエンドの分散型アプリケーションや、一般公開サイドと所有者のみが閲覧できる非公開サイドを持つダブルサイド型のNFT「Numiz」の開発に注目が集まる。

その他にも、Chromeブラウザで使える数々のウォレット拡張機能の追加や、まもなく完了するフリーTONとDune Networkとのマージなど、見逃せないアップデートが満載だ。