イーサリアム(ETH)は直近の売り圧力が3000ドルで止まり、強気派がこの水準を積極的に防衛した。現在は3300ドル超まで回復しており、オンチェーンデータとテクニカル指標の両面から見ても、さらなる下落の可能性は低下している。

トレーダーが損失を確定

オンチェーンデータによると、イーサリアムの「使用済み出力利益率(SOPR)」は0.96まで低下しており、投資家が損失を出して売却していることを示している。

これは、現在の価格調整がパニックや極端な恐怖による損切りに起因している可能性を示唆するものだ。

SOPRは、過去に移動したETHの取得時価と再度移動した時点の価格を比較して、売却時に利益または損失を出しているかを測定する指標である。

値が1を下回る場合、投資家の投げ売りや市場の底値圏を示すことが多く、買いの好機と解釈されることがある。

イーサリアムのSOPR. Source: Glassnode

実際、4月にSOPRが0.86まで低下した際には、ETH価格が1500ドルから4週間で2700ドルまで91%上昇しており、同様の回復局面が今回も意識されている。

オンチェーンは需要回復を示唆

過去7日間のオンチェーンデータは好調な動きを示している。DefiLlamaによると、イーサリアムは依然として他のブロックチェーンを圧倒しており、総ロック価値(TVL)の約56%を占めている。

さらに重要なのはネットワーク手数料の上昇だ。これはブロックスペースの需要の高まりを示唆しており、ETH価格の上昇を下支えしている。

7日間の手数料によるブロックチェーンランキング Source: Nansen

過去7日間で手数料収入は923万ドルと前週比83%増加。比較として、ソラナ(SOL)は9.1%増にとどまり、BNBチェーンは41%減少した。

この乖離は、イーサリアムが分散型取引所(DEX)取引量においても支配的地位を維持していることを示しており、DefiLlamaによれば10月のDEX取引量は前月比22%増となった。

取引所のETH残高が減少

グラスノードのデータによると、取引所に保管されているETH残高は8月24日時点の1700万ETHから、金曜には9年ぶりの低水準である1314万ETHまで22%減少した。

特に過去7日間で取引所への入金額は31%減少しており、この動きは同期間におけるETH価格の14%下落と重なっている。

取引所におけるETH残高 Source: Glassnode

取引所残高の減少は、即時売却可能な供給が減少していることを意味し、供給面から価格を下支えする要因となる。

イーサリアムの重要サポートは?

トレーディングビューのデータによると、ETHは3000〜3150ドルのサポートゾーンを維持しており、この範囲には100週間および50週間単純移動平均線(SMA)が位置している。これらのトレンドラインは7月以降、一貫して価格を支えてきた。

もしこのサポートを割り込んだ場合、次の防衛ラインは2800ドル付近となり、さらに下落すれば200週SMAが位置する2500ドル付近で強い買い支えが予想される。

ETH/USD 週足チャート Source: Cointelegraph/TradingView

アナリストのスキュー氏は「3200〜3400ドルのレンジで買い手が勢いを取り戻すかが焦点」とXで述べ、「この水準を下抜ければETHの強気シナリオは無効化される」と付け加えた。

また、クリプト・パテル氏も「3000ドルのサポート維持が鍵であり、次の上昇の波を引き起こす可能性がある」と指摘している。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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