2023年、時価総額で最大のステーブルコインであるテザー(USDT)は新記録を次々と更新しており、年初からの時価総額は少なくとも200億ドル増加している。

ブロックチェーンデータプロバイダーのホエールアラートによると、テザーは今年、227億5000万USDTを発行している。そのうち少なくとも40億USDTは過去4週間で発行された。

年始時点で約660億ドルだったテザーの時価総額は着実に増加し、2023年4月には800億ドルを突破した。コインゲッコのデータによると、11月14日には一時870億ドルに達した。

USDTの時価総額の推移. Source: CoinGecko

テザーの広報担当者によると、USDTの成長は主に2つの要因によるものだという。1つは、現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認可能性を巡る市場の高揚感だ。「機関投資家からのビットコインへの関心が高まっており、ビットコインETFの可能性による興奮がそれを推進している」とテザーの担当者は語った。

また、新興市場における需要の増加もテザーの成長を後押ししている。担当者は「USDTのステーブルコインは、新興市場や開発途上国においてデファクトスタンダードのデジタルドルとして位置づけられつつある」と述べ、「ドルに対する国内通貨の価値下落に苦しむ多くの国々が存在し、そうした国々のコミュニティは保護を求めている。USDTは彼らにとって最も信頼できる資産だ」と付け加えた。

ブラジル政府の公開情報を引用し、テザーはUSDTがブラジルにおけるすべての仮想通貨取引の80%を占めていると言い、「このパターンは他の数十カ国でも同様だ」と担当者は指摘した。

一方、テザーがこのような急増を見せる中、サークルのUSDコイン(USDC)のような主要ステーブルコインの一部は2023年にあまり勢いを得られなかった。2022年6月に550億ドルをピークに、USDCの時価総額は徐々に減少し、2023年に入ってからも下落を続けている。2023年1月以降、USDCは時価総額で約200億ドルとなっており、約45%を失った。執筆時点でのUSDCの時価総額は240億ドルとなっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン