米ドルに連動するステーブルコインのテザーは、米国で進行中の銀行危機と仮想通貨規制がステーブルコインに影響を与える中で、明確な勝者として台頭している。
4月17日、テザーの流通時価総額は約810億ドルに達し、1年前の最高記録である822.9億ドルに迫っている。今年に入ってからすでに約20%成長しており、新たな最高記録を更新しようとしている。

テザーのライバルは苦戦
テザー(USDT)の成長は、ライバルであるUSDコイン(USDC)とバイナンスUSD(BUSD)の市場シェアを奪う形で進んだ。これは、テザーの運営が銀行危機の感染リスクにさらされていないと仮想通貨トレーダーたちが考えているためだ。
例えば、2番目に大きなステーブルコインであるUSDコインの流通時価総額は、破綻したシリコンバレー銀行へのエクスポージャーが原因となり、今年に入ってから25%以上減少し、318.2億ドルまで下がっている(これは2021年10月以来で最も低い水準となる)。

一方、BUSDは、2023年に時価総額が60%減少し、66.8億ドルにまで下がった(これは2021年4月以来の最低水準だ)。これは、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が、仮想通貨企業パクソスに対して、新規発行を停止するよう命じたためだ。
さらに、米証券取引委員会(SEC)は、BUSDを「証券」と主張している。一方で、米商品先物取引委員会(CFTC)は、ステーブルコインを「コモディティ」と主張している。
Glassnodeのデータによれば、この資本移動によって、テザーが2021年5月以来初めて、世界のステーブルコインセクターにおける65%以上のシェアを持つようになった。

4月16日、米下院金融サービス委員会は、発行者の定義を作成するためのステーブルコイン法案の草案を公開した。それによれば、テザーのような非米国企業は、米国人にサービスを提供する場合、登録が必要とされるが、ステーブルコインを規制する機関については言及されていない。
取引所におけるステーブルコインが減少
テザーの時価総額が増加しているにもかかわらず、仮想通貨取引所におけるその供給量は2023年に減少している。
仮想通貨取引所は、年初時点の178.9億USDTと比較すると、4月16日時点で129.4億USDTを保有している。全体として、取引所におけるステーブルコイン供給は、今年に入ってから42%減少し、215.3億ドルとなっている。

この動きは、仮想通貨市場の評価額が1月の1兆ドルから1.21兆ドルへと、今年に入ってから21%増加したことと同時に起こっている。2023年第1四半期には、「安全な」ステーブルコインからリスクの高い仮想通貨へのトレンドシフトが見られたことを示唆している。
翻訳・編集 コインテレグラフ
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