イスラエルのテルアビブ証券取引所(TASE)はブロックチェーン基盤の有価証券の貸付プールを11月に立ち上げる。ブロックチェーン証券賃借(BSL)と呼ばれる1つの中央プラットフォームを作成する。
有価証券貸付は、ファンド内で保有する有価証券を、証券会社などに貸し付け、貸付料を得る取引。通常の運用収益に加え、追加の収益を得ることができるようになる。
TASEの7月28日の発表によると、イスラエルは有価証券貸付のための中央システムがないため、ブロックチェーンを使った貸付プラットフォームは同国の資本市場で必要不可欠な役割を果たすとしている。発表の中ではブロックチェーンの利用によってP2P取引への対応やスマートコントラクト、改ざん体制などの取引安全性の向上が見込めることを強調した。
ブロックチェーンの活用によってカストディアンと顧客はより高いレベルのセキュリティを低コストで運用できるようになり、短期間で大量の証券取引が可能になることが利点だ。
現在のシステムは投資家のニーズを満たしていないが、ブロックチェーンを導入することで全ての証券貸付活動を集中させ、主要な金融商品を投資家間で直接借り入れができるようになる。
TASEは2020年3月、専用のテスト環境を立ち上げ、下院んがローン取引を実行できるように整備。この結果を踏まえて11月にローンチするように進めている。
TASE決済部門のシニア・バイスプレジデント兼ディレクターのオーリー・グリーンフィールド氏は「ブロックチェーン技術は情報を確保しながら有価証券貸付の取引を可能にし、取引件数の増加が見込める」と語った。
パートナーにアクセンチュアやインテル
TASEは2018年5月、ハイパーレジャー・ソウトゥース(Hyperledger Sawtooth)を使った有価証券賃借プラットフォームの開発を発表。アクセンチュアやインテル、イスラエルのフィンテック企業であるザ・フロア(The Floor)などのパートナー企業と共同でプロジェクトを進めていた。
プラットフォームは、インテルのソフトウェア・ガード・エクステンション(インテルSGX)技術を用いてデータを暗号化するハイパーレジャー・ソウトゥースを基盤とする。アクセンチュアは、ハイパーレッジャー・ソウトゥースの主要な特徴の一つである、プラットフォーム上のスマートコントラクトの開発を担当した。
TASEはブロックチェーンを採用することにより、P2Pの直接取引や、スマートコントラクト、高いセキュリティ性能などの利点を生かして収益化を図ると、当時発表しており。同取引所は、ブロックチェーン証券賃借(BSL)と呼ばれる1つの中央プラットフォームを作成し、「すべての主要な金融商品において直接賃借を可能にすることで」イスラエルの証券賃借市場に革命をもたらすことを目指していた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン