スイスの国営郵便企業が、売買可能なデジタル切手を導入することで、実物の切手とデジタルな仮想通貨産業との間にある溝を埋めようとしている。

スイスポストが「クリプト切手」が間もなく販売開始されることを正式に発表した。デジタルなコレクションアイテムである同切手は、スイスポストが発行する8.9スイスフラン相当の実物の切手と結び付けられる。

スイスのクリプト切手は実物の切手をデジタルに表現したもので、ブロックチェーン上に保存される。「各デザインは非代替性トークンを形成し、ポリゴンのブロックチェーン内に保存される」と、スイスポストの広報担当者はコインテレグラフに述べた。

購入者は、実物の切手の隣に印刷されたQRコードを使って、実物の切手のデジタル版をオンラインで見つけることができる。クリプト切手の図柄は13あるデザインのうちのひとつとなり、オンラインで収集、交換、売買が可能となると、スイスポストは伝えている。

スイスポストの広報担当者によれば、利用者らは自らのクリプト切手をオープンシーなどといった主要な非代替性トークン(NFT)用マーケットプレースのようなプラットフォーム上で交換したり売却したりすることができるという。「スイスポストはただクリプト切手を販売するだけで、クリプト切手を使った取引にスイスポストは関わらない」と広報担当者は続けて述べた。

一部の切手は希少なデザインとなることからも、間もなく販売されるクリプト切手がNFTとある程度は同様の体験を提供することは明らかだろう。

「一部の切手はよりありふれたものである一方、ずっと希少性が高く、より多くの人が求める切手も存在する。65000枚の切手は最もありふれたデジタルのデザインになるが、最も希少なデザインの切手は50枚しか存在しない。ひとつはっきりしていることがある。クリプト切手によって、切手を集めて、交換して、売買するという行為もデジタルなものになったということだ」と、スイスポストは記している。

スイスのクリプト切手は11月下旬に販売開始され、175000枚の仮想切手が特定のスイスポストの郵便局にて11月25日に売り出される。

収集品としての切手を提供するためにブロックチェーン技術を用いた実験的取り組みを行ったのは、スイスが初めての国というわけではない。21年5月、オーストリアの郵政企業は、同社による限定版のNFT郵便切手コレクションシリーズ第三弾である「クリプト・スタンプ3.0」に、NFCチップを組み込む計画を発表している。オーストリアは同国で初めてのクリプト切手を19年に発売している