スイスに本社を置くフィンテック企業X8 AGが、イスラム法(シャーリア)に基づくイーサリアムベースのステーブルコインのための認証を受けた。ロイターUKが12日に報じた。X8は、ステーブルコインであれば、一部のイスラム法学者が仮想通貨に懸念する投機的側面を回避できるとしている。

今回認証を与えたのは、シャーリア・レビュー・ビューロ(SRB)と呼ぶ組織だ。SRBはバーレーン中央銀行の認可を受けたイスラム法のコンサルティング・監査を手掛ける大手企業。同社は12か国で営業しており、サウジアラビア資本市場庁(CMA)に認可を受けた同国投資会社で13パーセント以上のシェアを有し、サウジアラビア株式取引市場に上場する共済保険企業の21%以上のシェアがあるという、

仮想通貨がイスラム法に準拠するか否かについては、イスラム法の投機を禁止する規定との適合性そのものを中心に議論されてきた。ロイターは、一部のイスラム法学者が仮想通貨取引を「権利の移転」と同等とみなしていると伝えている。この場合、仮想通貨取引はイスラム法の下で合法ということになる。

X8の取締役兼共同創業者であるフランチェスカ・グレコ氏によると、X8のイーサリアムベースの暗号資産は「ステーブルコイン」であり、7種類の法定通貨と金により裏付けされている。これにより、一部のイスラム法学者が懸念するボラティリティや投機の過熱が抑えられると考えられている。

中東に事業展開する計画の一環として、X8はイスラム法準拠の取引プラットフォームを含む仮想通貨取引所をローンチする計画であると報じられている。この目的のため、グレコ氏は同社がドバイ・アブダビとバーレーンの取引所と会合を行ったとロイターに語っている。同氏は「湾岸地域はフィンテック企業にとても適した場所だ。なぜなら各国がフィンテックのハブになりたがっている」と述べている。

今年7月、アルトコインのステラ(XLM)は送金と資産トークン化の分野でシャリーア準拠の認証を受け、ブロックチェーンプロトコルとして初の快挙を達成したと発表した。同分野での「初の快挙」を主張する他の仮想通貨企業には、世界シャリーア諮問委員会から3月にシャリーア認証を受けた、仮想通貨ユーティリティトークンであるNOORCOINなどがある。

ビットコイン(BTC)については今年4月、フィンテックスタートアップ企業のブロッサム・ファイナンスが、イスラム法の下で「一般的に許容可能」であるとするレポート公表同社のイスラム法学者のムハンマド・アブー・バクル氏は、トレーダーは投機目的で購入するべきではないと警告しつつ、デジタル通貨をハラル(許容可能)であると結論付けた。

ブロッサム・ファイナンスの創業者兼CEOのマシュー・J・マーティン氏は今年2月、コインテレグレフに対して、決済ネットワークとしてビットコインは法定通貨よりもハラル(許容可能)かもしれないとの見方を示している。ビットコインが債務ではなく、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)に基づいて発行されているからだ。