金融メッセージ通信サービスを提供するSWIFT(国際銀行間通信協会)とグローバル取引銀行34行は8日、分散型台帳テクノロジー(DLT :ブロックチェーン)がノストロ調整に有効との概念実証(PoC)結果を発表した

 ノストロ口座とは、銀行が他の銀行に保有する外貨建て口座のことだ。概念実証の目的は、銀行間取引において、DLTとSWIFTの資産の組み合わせが、どのように産業レベルのガバナンスや安全性、データプライバシーの条件を満たすかを調べ、他の用途での利点を探ることと説明している。

 概念実証では、DLTが広範にわたりノストロ調整に役立つことが明らかになった。リアルタイムのイベント処理や取引ステータスの更新、完全な監査証跡、予測・利用可能残高の可視性、リアルタイムな単純化された帳簿記入の確定、未決済データや潜在的な関連問題の特定、当局への報告のために必要なデータ収集なども含め機能した。

 DLTはまた、データ機密性や安全性、ガバナンス、IDフレームワークにおける使用でも進展を見せ、この新たなテクノロジーが、金融マルチバンクアプリケーションを支援しうることを証明した。

 SWIFTの研究開発責任者ダミエン・ヴァンダーヴェーケン氏は「概念実証はすこぶる順調に進んだ。素晴らしい進展が得られているが、DLTやハイパーレジャーファブリックの力によるところが大きい」と述べた。

 昨年4月、SWIFTはハイパーレジャープラットフォームを基盤として、クロスボーダー市場の決済業務を改善すると表明した。プロジェクトの参加銀行は、オーストラリア・ニュージーランド銀行やBNPパリバ、JPモルガン・チェースなど全34行だった。参加銀行それぞれが、SWIFT DLTサンドボックスに展開する固有のノードを保有している。その裏付けとなる技術はハイパーレジャーファブリックv1.0だ。

 SWIFTの最高プラットフォーム責任者のステファン・ギルダーデール氏によると「SWIFTにとってDLT研究は、戦略的優先事項だった」という。新たな概念実証にもすでに着手しており、これからも研究開発を続けると強調した。

 SWIFTの次なるステップは、リアルタイムの流動性レポーティング・処理を開始するようにコミュニティを奨励し、DLTの能力を補完するため自らのプラットフォームを発展させていくこと、としている。