ここ数年で3Dプリンター技術は飛躍的に進化した。現在では生きた細胞を使って小さな組織を作ることも、24時間以内に家を丸ごと作ることも可能だ。そんな中、伊トリノ工科大学からスピンオフしたスタートアップ企業「ポリトロニカ」社は「3Dトークン」を使って世界中の3Dプリンタとブロックチェーンネットワークを繋ぎ、ジャストインタイム生産のできる分散型製造工場を作ろうとしている。
数年前のデータでは、5000ドル以下のデスクトップ型3Dプリンターは世界中で約28万台存在していた。今後さらに低価格化が進めばさらに普及していくことが予想される。そんな中、「3Dトークン」は世界中の3Dプリンターのブロックチェーンネットワークを作り小中規模の「ものづくり」を新たな次元に押し上げることを目論む。
ブロックチェーンで世界中の3Dプリンターの力を結集
今回ポリトロニカ社が展開する「ネットワーク ロボット ワークフォース」と呼ばれるネットワークは、納期や生産コストに関する従来の業界基準を変えることができるだろう。ブロックチェーンをベースとした同社のオンラインプラットフォームは、さまざまな革新的3D製造プロジェクト間のまとめ役として機能し、生産コストを大幅に下げる可能性がある。現時点で同社は100台の3Dプリンターのネットワークを維持。3Dトークンプロジェクトを通して2019年末までにこれを3000台まで増やし、処理済みバイオプラスチック300トン分の生産能力確保を目指している。
さらにポリトロニカ社は現在、全世界に600店舗を展開するデザイン雑貨チェーン「フライングタイガーコペンハーゲン」と連携し、デスクトップ型3Dプリンターを学習するデバイスと照明器具「Q3D」を本格展開しようとしている。
「3DT」トークンの様々な用途
「3Dトークン」プロジェクトはその名が示唆する通り、イーサリアム ブロックチェーンをベースとした独自の仮想通貨「3DT」も導入する予定だ( 同社のICOは2月11日に終了する)。これを使って、ユーザーはクラウドファンディング キャンペーンに参加したり、エコシステム内のマーケットプレイスでコインを使ったり(3D印刷用デジタルモデルの購入など)、ネットワーク内で3DTを取引することができる。また3DTを保有することで、ネットワークから利益の分配を受けることも可能だ。
だが米国と中国の投資家は各種規制により一切同コインを購入することができないことに注意だ。また、シンガポール、香港、カナダの国民・居住者はトークンを購入する前に、自分が適格者であるか確認する必要がある(同トークンは払い戻し不可となっている)。
3Dプリンターの世界的ネットワークを通して未来を印刷する!
3D製造の世界にブロックチェーン技術を組み込むことへの関心は、ますます高まっている。米海軍でさえ3D印刷プロセスにおけるセキュアなデータ転送にブロックチェーン技術の採用を検討していると言われる。また、ユーザー間でプロセスを輪切りにしてタスクを分配し、各自のコンピューターの負荷を減らすことができるブロックチェーンの分散化特性は、3D印刷プロセスのさまざまな段階でメリットをもたらすことができる。
もし実現すれば、3Dトークンネットワークは3D印刷市場の可能性を最大限に加速させるかもしれない。同社はイタリア北部でネットワークの拡大を開始し、その後、欧州全体へと進み、そして将来は全世界レベルにまで広げたいと考えている。
「ポリトロニカ」社はイーサ価格が1350ドルに戻るまでトークン購入時の割引ボーナスを25%から50%に引き上げて提供する。
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