イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXが、2億5700万ドル相当のビットコイン(BTC)を移動させた。わずか3か月で2度目となる大規模送金であり、同社を取り巻く財務的・政治的圧力が強まる中、売却の可能性をめぐる憶測が広がっている。

ブロックチェーン分析企業ナンセンのデータによると、スペースXは火曜日、ビットコインのウォレットから資金を移動させた。7月以降では初の動きとなった。

スペースXのウォレット「1MDyM」からアドレス「bc1qj」へ1億3000万ドル分を送金し、別のウォレット「1AXeF」からもアドレス「bc1qq」へ1億2700万ドル分が送られたという。

これらの受取アドレスはいずれも、現時点でビットコインを転送・売却していない。また、スペースXも今回の移動についてコメントを出していない。

スペースXのウォレット「1MDyM」からの送金 Source: Nansen.ai

同社による資金移動は2022年以来途絶えていたが、7月には1億5300万ドル分のビットコインを送金しており、今回が3か月で2回目となる。

マスク氏と仮想通貨の複雑な関係

イーロン・マスク氏は最近、ビットコインのエネルギーを基盤としたインフレ耐性の経済モデルを評価する発言をしているが、マスク氏と仮想通貨業界との関係は複雑だ。

スペースXは2021年7月、電気自動車メーカーのテスラと並び、BTC保有を初めて公表した。テスラは同年初めに15億ドル分のビットコインを購入している。

しかし同年5月、テスラは環境面の懸念を理由にビットコインによる決済を停止。その発表から1時間以内にBTC価格は5万4800ドルから5万1600ドルへと約6%急落した。

テスラは依然として大半のBTCを保有しているとみられる。マスク氏は過去に「マイニングの再生可能エネルギー比率が拡大すれば再開する」と表明したものの、支払い再開には至っていない。

Source: Woocharts/Cointelegraph

気候テック投資家ダニエル・バッテン氏とビットコインアナリストのウィリー・ウー氏の分析によれば、ビットコインマイニングにおける再生可能エネルギー利用率は過去最高の55%超に達している

スペースXに政治的圧力

スペースXのビットコイン保有に注目が集まる背景には、同社が直面する政治的圧力や財務上のプレッシャーがある。

NASAのショーン・ダフィー長官代行は月曜、月面着陸船の開発契約をスペースX以外の企業にも開放する方針を明らかにした。スペースXのスターシップ開発が遅延しているためだ。

「我々は中国と競っている。最も優れた企業に月面着陸を託す必要がある。スペースXは有人月着陸システム(HLS)の契約を獲得しているが、進捗は遅い」とダフィー氏はCNBCのインタビューで述べた。

スペースXは2021年にNASAと44億ドル規模の契約を締結し、2027年までに再利用型宇宙船スターシップでの月面着陸を実現する予定だった。

しかし現在、この契約にはブルーオリジンやロッキード・マーティンといったライバル企業も入札を検討しており、スペースXの優位が揺らぎつつある。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

仮想通貨, ビットコイン価格, テクノロジー, 仮想通貨投資, ビットコインマイニング, Bitcoin Payments, アメリカの仮想通貨, Tesla Motors, Bitcoin Investment Trust, Space, Tesla, イーロン・マスク, Bitcoin Adoption, Nansen