「デジタルで匂い・香りを世界観オンデマンドニーズとつなげる」をミッションとするHorizonは、Smell Token Projectと共に世界初の「香り×Web3」を開発した。
香りといえばアナログ、というイメージがあるが、同チームはブロックチェーン技術をフルに活用し、香りの「共通フォーマット」と、香りの「データストリーミングプラットフォーム」を展開するという。
本記事では、Smell Tokenの創設者であるアレックス氏にインタビューを行い、香りのデジタル化とは具体的にどういったものか、Web3と香りの融合はどのように行われるのか、といった面から「香り×Web3」の全貌を明らかにしていく。
香りのデジタル配信の概要と新体験
Smell Token ProjectとHorizonは、プリンターのCMYKに相当する革新的な香りの共通フォーマット「Universal Scent Format(以下USF)」を定義し、香りのデジタルプラットフォームを目指す。
CMYKはCyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Black(ブラック)の4つの基本インク色を組み合わせることで広範囲の色を再現する印刷技術であるが、USFも近い役割を持っている。
USFについて、アレックス氏は次のように述べる。
「CMYKが色彩を豊かに表現する基本となっているように、Universal Scent FormatUSFも香りの世界に大きな革命をもたらすと確信しています。このフォーマットでは40種類の基本的な香りを適切に組み合わせることで、自然界の香り、香水、日常生活で感じる様々な香りを再現することが可能です。
さらに、これらの香りはデータとして伝送することもできます。Smell Token ProjectとHorizonは、Universal Scent FormatUSFに対応した香りを再生できるデバイスの開発に、複数のメーカーと協力して取り組んでおり、2024年からは様々なメーカーがUniversal Scent FormatUSFに対応したディフューザーを市場に投入する予定です。」
つまり、USFさえあれば、たくさんの香水やアロマを買わずとも様々な香りの再現が可能であるということだ。プリンターが4つのインクを混ぜて自由自在に色を作るように、USFは40種類の香りを使って特定の香りを作る。
香りによる新たな体験の提供
次に、香りの「デジタル化」について触れていく。
アレックス氏は、現代のコミュニケーション手段が主に視覚と聴覚に限られている点に注目し、香りのデジタル化の可能性について次のように語る。
「現代では、家族や友人、遠くにいる人々とコミュニケーションを取るために、インターネットを介して画像や動画を送り合うことが一般的です。もし同じことが香りにも適用できたら、その可能性は計り知れません。例えば、お気に入りのアイドルがライブ配信中に特別な香りを送ったり、テレビで食べ物のレポートを見ている時にその料理の香りが伝わってきたり、ゲームや広告で香りを活用することも可能になります。デジタル技術の進化により、香りもアプリを通じて作成し、友人と共有したり、オンラインの「Scent Store」にアップロードして販売することも可能になります。このように、デジタル化によって、これまでアナログでは実現不可能だったことが可能になるのです。」
Scent Store(セントストア)は、香りのデジタルアイテムを発行・管理・流通させることに特化した世界初のプラットフォームだ。
嗅覚を刺激する記憶は、他の感覚よりも強い感情的反応を呼び起こすと考えられており、実際に既に香りを利用したマーケティング戦術が世界中で利用されている。
しかし、様々なハードウェアメーカーが香りをコントロールするためのIoTやAIを搭載したデバイスを展開しているが、香りのデータフォーマットの標準化はまだ実現していなかった。
そこで、彼らは香りを世界共通のデータフォーマットに変換し、所有権を証明できるNFTとして販売するという一歩を踏み出すことにした。
香りをNFTにする一つの理由は著作権の保護があるが、著作権保護についての具体的な説明は後述する。
アレックス氏の視点から香りのデジタル化の影響を考察すると、この技術革新が私たちの生活に与える影響は計り知れない。家族や友人との物理的距離を超えて香りを共有できるようになることで、コミュニケーションの質は一層深まるだろう。
香りとWeb3をどのように融合するのか
アレックス氏と彼のチームは、Web3に深くコミットしている。彼らは、Web3を単なる技術ではなく、ビジネスモデルの革新と成長を推進する重要な要素と捉えている。その中でも特に力を注いでいるのが、Web3を活用することでデジタル化された香りの共有と交換を容易にし、香りへのアクセスを向上させるという点だ。
アレックス氏はWeb3について次のように語る。
「Web3技術は、証明と透明性のために活用されることが多く、その価値は計り知れない。しかし、私たちは外部に対してWeb3を前面に押し出すことはせず、代わりに『香りをインターネットで送り合えることの便利さ』を訴えています。私たちは、Web3がサービス自体ではなく、サービスを強化するテクノロジーであると信じています。」
アレックス氏と彼のチームが重視しているのはWeb3を活用したサービスの強化だ。
彼らは、香りのデータのNFT化や香りのクリエイターの知的財産保護、報酬計算の透明化といったWeb3を活用した取り組みを積極的に行っている。
「Web3だから価値がある」という表面的な考えではなく、実質的な価値と実用性に基づくプロジェクトを創出することに焦点を当てたアプローチを取っていることがはっきりと分かる。
実業との紐づき
Web3プロジェクトが従来、ブロックチェーンゲームや「〇〇 to Earn」モデルに焦点を当てている中、Smell Token ProjectとHorizonは実際の香りビジネスを基盤とした異なるアプローチを採用している。
「Web3プロジェクトはこれまで、ブロックチェーンゲームや様々な『〇〇 to Earn』モデル、またはレイヤーワンやレイヤーゼロの技術普及を目指すプロジェクトが主流でした。しかし、これらのプロジェクトはしばしば永続的な成功を収めるのが難しく、ユーザー数の減少やシステムの破綻が見られることが多いのが現状です。一方で、Smell Token ProjectとHorizonのようなプロジェクトは、実際の香りビジネスを基盤としており、実業に裏打ちされたアプローチを取っています。これらのプロジェクトは、Web3に限らず全人類の個人や法人を対象にしており、その範囲の広さが特徴です。技術的に見ても、インターネットを通じて香りを送受信するという発想は、画像の送受信が可能になったことに匹敵するほどの大きなインパクトを持ちます。これは、将来にわたって続く可能性のある革新的な仕組みです。このような点から、Smell Token ProjectとHorizonは、これまでのWeb3プロジェクトとは一線を画す、世界で初めての異色の試みであると言えるでしょう。」
Smell Token ProjectとHorizonは、単に技術的な革新を追求するだけでなく、実際の市場や消費者のニーズに対応し、実用的な商品やサービスを提供することに注力した。つまり、彼らのプロジェクトは持続が難しいとされているWeb3プロジェクトとは異なる、実際のビジネスとして成り立つ持続可能なモデルを築いている。
Smell Token Projectが構築する経済圏
トークンのユーティリティや経済圏について、アレックス氏は次のように述べた。
「Smell Token(SML)は香りのビジネスに特化したトークンです。保有量に応じて、香りをアップロードする回数が増えたり、香りのデバイスやデータを割引で購入できるなど、多様な特典を提供します。香りのコンテストへの参加や、香りのプラットフォームを利用する企業のライセンス料支払いにもSMLが用いられます。これによりSMLの需要が大きく高まります。また、購買時のインセンティブとして付与されることで、ユーザーの購買行動やビジネス参加へのモチベーションを高める役割も担っています。このようにSMLは、香り産業のデジタル変革を推進し、新たな体験と価値を創出する重要な経済圏を構築するトークンです。」
Smell Tokenには様々な使い道や特典があるが、これだけではない。
例えば、アレックス氏のコメントにある香りのアップロード回数増加や香りデバイス・データの割引以外にも、Smell Tokenの保有者は香りデータの収集・登録を行うことが許可され、Scent Storeのコミュニティにも参加することができる。
Scent Storeコミュニティの参加者はScent Storeのプラットフォーム上で活動することで報酬としてSmell Tokenを得ることができる上、自身が登録した香りデータが購入されると、購入手数料と著作権料が支払われる。
Scent Storeは、香りを活用することで報酬を得られる「Smell To Earn」の世界を実現するだろう。
「香りをインターネットで送受信できること」がもたらす大きな市場規模
日本国内でのアロマ関連市場規模は約3,500億円に達しており、その他の香り関連市場を含めると約2.5兆円にも上る。
世界規模では、アロマ関連市場規模は14.6兆円にも上る巨大なマーケットだ。香りのデジタル配信は単に現在の香り市場に対してアプローチができるだけではなく、提携拡大市場であるエンターテイメント、ゲーム、テレビ市場(国内では10.6兆円、世界市場では128.8兆円)、広告市場(国内では7兆円、世界市場では77兆円)、そしてXR市場(国内では2200億円、世界市場では2兆円)にまで拡大することができる。
このように、香りのデジタル配信は、市場規模の広さから非常に大きなポテンシャルを持っていると言えるだろう。
香りのデジタル化と課題解決
香りがデジタル化されることで起こる大きな変化の一つとして、ライフスタイルが上げられる。
音楽を「今日の、今の自分の気分」で選ぶように、香りも個人の好みやその日の気分に合わせて選べるようになるのだ。
家に多くのアロマボトルを保管する必要がなくなり、個々人がより自由に、そして簡単に香りを楽しめるようになる。この変化は、個人の日常生活をより豊かでパーソナライズされたものに変え、香りの使用方法に新たな価値観をもたらすに違いない。
また、香りのデジタル化は様々な課題を解決する。
アレックス氏は、香水業界の物理的サンプル送付に関連する高いコストがデジタル配信の導入によって解決されると述べる。USFによるデジタル配信は、香水メーカーにとってコスト削減と効率化の大きなチャンスを提供する。
「香水業界は長らく消費者に物理的なサンプルを送付することで、香りの体験を提供してきました。しかし、この方法は送料などのコストが大きな課題となっています。新たに登場したUSF(USF)は、この問題に対する画期的な解決策を提供します。USF対応の香水を開発することで、香水メーカーはデジタル配信によってサンプルを提供できるようになり、コスト削減と効率化が実現可能です。」
さらに、芸能人やセレブリティによる香水製品の市場投入における初期コストや在庫リスクがUSFにより大幅に軽減される。これにより、製品の市場導入がよりスムーズになる。
「芸能人やセレブリティが自身のプロデュースする香水を市場に投入する際、初期の生産ロットや在庫のリスク、さらには製造にかかる時間が大きな障壁となっていました。USFを利用することで、これらの問題を一掃します。在庫や生産ロットの心配は不要となり、製作リードタイムも従来の1ヶ月からわずか5日に短縮されます。」
また、一般の人々もUSFを用いて個人的な香りを作成し、共有することが可能になる。これにより、香りの創造が一般化し、新たなビジネスの機会が生まれる。
「これまで一般の人々が独自の香りを作成するには、専門的な道具や知識が必要でした。しかし、USFの登場により、誰でもアプリを使って簡単に香りを調合し、そのデータをアップロードすることで、自宅に自身が作成した香水を受け取ることができます。さらに、アップロードした香りのデータを他人が購入することも可能で、一般人が副業としてデジタル調香師になる道が開かれます。」
これらの課題解決は、香り産業の未来を形作るための重要な1ピースとなるだろう。
調香師とブランドの権利をブロックチェーンで保護
香りと著作権については、根深い問題がある。それは、香りがアナログである以上、著作権違反であることを明確にするのが難しいという問題だ。
香りの著作権について、アレックス氏は次のように語る。
「現在の香りの業界では、香りの著作権を登録する制度は存在しますが、香水がアナログ形式で流通しているため、著作権違反を特定するのは困難です。これは、物理的な商品の流通における商売の仕組みが、著作権の保護と追跡を複雑にしているためです。しかし、USFの導入により、この状況が大きく変わります。USFでは、すべての香りが数値で管理され、作成者の情報も記録されています。これにより、流通がデジタルから始まることで、著作権違反が発生した場合、迅速に特定することが可能になります。これは、調香師が自分の作品を世界に配信する際に、安心してクリエイティビティを発揮できる環境を提供します。」
これまで保護されていなかった香りの著作権者の権利を保護するため、Smell Token ProjectとHorizonはScent Storeにブロックチェーンと(NFT)を導入している。
これにより、クリエイターと購入者の著作権保護が保証され、フレグランス版JASRACが確立されるのだ。
「ブロックチェーン技術の利用により、香りの著作権保護が強化されます。ブロックチェーンは、透明性と改ざん防止の特性を持ち、各香りのレシピとその作成者、流通履歴を確実に記録します。これにより、調香師やブランドは、自分たちの作品が適切に管理され、保護されているという安心感を持てるようになります。」
Horizonの展望
Horizonは、デジタルマーケット化されていない最後の五感の「嗅覚」に焦点を当て、革新的な香り体験を提供することを目指している。
彼らが今世の中に存在するユーザー体験のすべてに香りを付与することで、好きな香りをネット上で友達に共有するなどの新しいコミュニケーションや、香りと広告を結びつけると言ったビジネスモデルの創出まで、幅広い範囲でイノベーションが起こるだろう。133社がエントリーしたサマーコンファレンスの「社会課題解決ビジネスコンテスト」で、ビジネスが高く評価され、デジタル大臣賞も受賞した。
さらに、HorizonはWeb3を活用することによって香りデータの著作権保護や香りDAOの構築、トークンによるインセンティブなどを実現し、ブロックチェーン上で香りの経済圏を創出する。
また、彼らは香りのデジタルプラットフォームの先駆者として香りのデータ規格の標準化と著作権の管理を確立し、世界規模でそれらを普及させることで、他企業がスマートディフューザーやマーケットプレイスを独自で開発することにも期待している。
これらの展望の実現を容易にするための香りのデータ規格や著作権の管理構造は既にHorizonによって整えられているため、Horizonが展開する場で世界中の人々が香りに関わることで、Horizonの香り経済圏は大きく成長するだろう。
公式リンク集
Horizon公式サイト:https://www.hrz.co.jp/
Horizon X:https://twitter.com/hrz_co_jp
Smell Token公式サイト:https://www.smelltoken.com/
Smell Token WP:https://www.smelltoken.com/whitepaper
Smell Token X:https://twitter.com/smelltoken
Smell Token Discord:https://discord.com/invite/h9uZ4CN5pg
Smell Token Youtube:https://www.youtube.com/@SmellToken
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