米政府は、確定拠出型個人年金制度である401k口座へのビットコイン(BTC)の影響について懸念を強めている。このほど明らかになったフィデリティ・インベストメンツが401kプランにビットコイン(BTC)を組み込む計画について、2人の上院議員がいくつかの問題点を指摘した。同社の401kプランへのビットコイン対応についてはこれまでにも米労働省なども懸念を表明している。

マサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン上院議員とミネソタ州のティナ・スミス上院議員は、フィデリティ・インベストメントのアビー・ジョンソンCEOへの書簡で、401k投資プランにBTCを追加するという同社の決定に懸念を表明した。

5月4日付けの書簡では、フィデリティの最新のビットコイン計画には潜在的な利益相反があることを示唆しており、フィデリティがBTCとイーサ(ETH)のマイニングを行なっていたことや、2017年にコインベースアカウントの統合の実験を開始して以来、仮想通貨に深く関与していることに言及した。

4月26日にフィデリティは、401k口座で、ポートフォリオの最大20%をBTCに割り当てることを可能にする計画を発表。しかし、ウォーレン上院議員とスミス上院議員は、顧客の需要が十分でないと主張し、次のように述べた。

「このオプションに対する需要が不足しているにもかかわらず、雇用者のわずか2%が、仮想通貨を401(k)メニューに追加することに興味を示しただけで、フィデリティはビットコイン投資のサポートを全速力で進めてしまっている」

書簡では、仮想通貨に関連する「詐欺、盗難、損失などの重大なリスク」についても言及。上院議員らは、労働省が3月に発表した声明に言及し、企業がスポンサーとなる退職金口座内で多額の仮想通貨投資を行うと、法的注目を集める可能性があると警告した。同局はまた、仮想通貨の「極端なボラティリティと高い投機性」、カストディアルとデータ保持の懸念などに関連するリスクも指摘した。

「つまり、暗号通貨への投資はリスクが高く投機的なギャンブルであり、フィデリティが何百万人ものアメリカ人の退職金でこうしたリスクを負うことを懸念している」

上院議員らは同社に対し、2022年5月18日までに労働省が示したリスクにどう対処するかについて回答を出すよう要請した。また、ビットコイン投資手数料やフィデリティのマイニング事業から発生する金額についても、より詳細な情報を求めた。