米証券取引委員会(SEC)のロバート・ジャクソン委員が4月30日、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関して投資家の保護を強調し、今後は、仮想通貨の投資を証券取引法に準拠するようにする方法を検討していくことを示唆した。米CNBCのインタビューで発言した。

 ジャクソン氏は、証券ではないICOをいまだ見たことがないと述べ、ジェイ・クレイトンSEC委員長が今年初旬に述べた意見に同調した。ジャクソン氏は、仮想通貨、とりわけICOは、SECが目にしてきた厄介な展開に満ちていると述べ、以下のように付け加えた。

「投資家は投資と詐欺を見分けるのに苦労している」

 ジャクソン氏によると、現在のICO市場は統制されていない証券市場の典型例であるという。「証券規制がない市場がどのようなもか、SECが任務を遂行しない場合の市場がどのようなものかを知りたい場合、ICO市場を見ればその答えが分かる」。

 しかし、ジャクソン氏は、このことがさらなる禁止や規制の強化を意味するのではなく、この市場で痛い目に遭っている投資家を保護することに今は重点を置くべきであるとの考えを示した。また、今後SECが仮想通貨の投資を、証券取引法に準拠するようにする方法を検討していくことを示唆した。

 今年2月に行われたSECと商品先物取引委員会(CFTC)による仮想通貨に関する公聴会では、ブロックチェーンなどの分散台帳技術(DLT)に対しては最低限の規制が、ICOに対しては最大限の規制がそれぞれ必要であり、仮想通貨はその中間に属するという結論が出された。さらに最近では、4月28日に開かれた米下院の公聴会で、SECの企業財務局局長は、ICO規制についてSECが「バランスの取れたアプローチ」をとることを目指して努力していると述べた。