【インタビュー】仮想通貨の価格予測で一躍人気者 元証券アナリストのロニー・モアス氏

 米スタンドポイント・リサーチ社のロニー・モアス氏がコインテレグラフの単独インタビューに応じ、ウォールストリート時代の経験や仮想通貨への思いを語った。モアス氏はこれまでのコインテレグラフの取材に対し今年のビットコインの値動きをほぼ的確に言い当てていた。

 名高い証券コンサルタントのモアス氏にはいろんな顔があるが、億万長者ではないことは確かだ。ヘッジファンド・マネージャーだったわけでもない。(既報では一部間違いがあった。)

 モアス氏は世界の億万長者が大勢いるところで一緒になることほど嫌なことはないと認めている。それとはほとんど逆説的だが、モアス氏はこの20年、儲かる株の情報を提供してきた。

 「私はビリオネアではないし、ビリオネアとつきあいたくもない。世界には飢餓に苦しむ人がいるのに自分のためだけにお金を使っている人をみると吐き気がする。」

 「人々は声を高らかにあげる必要がある。強欲な資本主義のピラミッドのてっぺんにいる人たちにやさしく話しかけても意味がない。」

2つの街で

 モアス氏が多くの人々を裕福にしたことを考えると、彼が途方もない金持ちやゾッとするような貧富の格差に憎悪をむき出しにすることを理解するのは難しいことではない。中には富を貯めこむ人もいるだろうが、彼はより富を持たない人を裕福にする役回りを買って出てきた。

 彼の慈善活動は情熱的で、それは彼の育ちと教育の副産物だ。

 ニューヨークに生まれたモアス氏は16歳のとき、父の生まれ故郷であるイスラエルに戻った。そこでモアス氏は高校を卒業し、兵役を延期して大学に入学した。

 1994年にニューヨークに戻り、企業経営修士号を取得するためにニューヨーク市立大学バルークカレッジに通った。経済と経営で学士号も取得しており、彼の成功への道が始まった。

 証券分析の世界に入り、さっそく正確な予測で名をはせた。1990年代後半から2000年代初めの5年間をかけて、155の株式評価モデルを開発した。

 モアス氏は成功の理由を、そのモデルによって生まれたアイデアの組み合わせや、彼が発表した戦略リポートで示した洞察力によるものだと考えている。

 「業界の誰よりも仕事をした。まず155のコンピューターモデルに発想を得た。分析モデルで推奨された銘柄にさらにファンダメンタル分析と主観的な総合判断を加え、20~40ページのリポートにした」とモアス氏は語る。

 「だからこそ抜きんでれた。ウォールストリートの他の連中と同じことをしていたなら、結局はみんなと同じになってしまうだろう。みんなと逆のことをする必要がある。」

ウォール街のロビンフッド

 20年にわたってさまざまな顧客に最良の株価分析を提供してきたモアス氏には富裕層との付き合いもあった。おぞましい絢爛の中に生きる富裕層や拝金主義者をみてしまい、それがきっかけで、ロビンフッドのように最も貧しい人に還元する役回りを引き受けたのだろう。

 この10年、モアス氏は米国の最大で最高ランクの慈善団体の一つであるフード・フォー・ザ・プアの活動に関わってきた。多くの個人的な時間や取り組み、資金を慈善活動に費やしてきた。

 同団体のエンジェル・アロマ事務局長とともに今年前半にハイチを訪問したことについて、モアス氏は、ほとんどのハイチ人は極貧の生活をしていると話した。

 「西半球で最も貧しい国であり、ほとんどの国民が1日4ドル未満の生活をしている。政府には税収がなく、飢えに苦しむ国民を助ける術もない」とモアス氏は言う。

「生活状況だけでなく、フォード・フォー・ザ・プアの活動を含めて、私がそこで見たものと同じ光景を見れば、なぜ私が必要なら慈善と貧困のために全てをなげうつかを理解してもらえるだろう。」

 慈善活動の支援者としてモアス氏は同団体のために1000万ドル(約11億3268万円)を集めることを目標にしている。それを使って人道支援物資や食糧などを集め、同団体のサポートのもとで18のカリブ地域とラテン・アメリカ諸国に供給するとしている。

 17年には慈善活動によって5000のコンクリート建て家屋を建設し、4000の人道支援物資入りのコンテナーと4億食超の食糧を配給した。運営費は5%未満に過ぎない。

 現代世界の不正義が際立つ中、大金持ちは援助を必要としている人たちに資産のほんの一部でも寄付すべきだとモアス氏は訴える。

 「もし100ドル(約11326円)を寄付すれば400ポンドのコメと豆が買える。それだけあればまる1年間、飢えた子ども2人を食べさせるには十分だ。17年には世界で300万人の子どもが飢え死している」とモアス氏は言う。

 現在、モアス氏は500超の人から11万8000ドルを超える基金を集めており、目標達成には時間の問題だという。

仕事、旅行、音楽

 モアス氏のことを仕事中毒だというのは間違いではないだろう。この10年、彼は世界で最良の証券アナリストの人として常にランク付けされている。スタンドポイント・リサーチの信頼の置けるチームの助けを借りて日々、株式分析をしている。

 時間があるときは、旅行と音楽が余暇の楽しみだ。イスラエルに暮らしていたときは、過去25年にわたり、世界の大物歌手やビッグバンドをイスラエルに招いてきたシューキ・ワイズ・プロダクションで働いていた。

 モアス氏によると、周辺国の政治的混乱の中でテルアビブはバンドの中心地となったという。最近もガンズ・アンド・ローゼズとエアロスミスはそれぞれ欧州ツアーの締めくくりとしてテルアビブで公演した。

 CDのコレクションは1500枚以上あり、幅広いジャンルの音楽を聴く。とくに好きなミュージシャンを聞くと、伝説的なロックバンドであるレッド・ツェッペリンやモーターヘッド、AD/DC、ザ・カルト、ジューダス・プリーストの名前を挙げた。

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 音楽好きだけでなく、まさに旅行狂で、70カ国以上を旅している。

 彼は今週、38日間にわたる旅行に出かける。メキシコシティーからロサンゼルス、フィジー島、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、オマーン、アムステルダムなどを回る予定だ。

 旅行の途中でコインズバンク・ブロックチェーン・クルーズにも参加する。シンガポール、マレーシア、タイ等をまわり、マカフィー創設者のジョン・マカフィーから著名な仮想通貨アナリストのトーン・ベイズまで仮想通貨スペースで影響力を持つ人たちが参加する。

仮想通貨の波に乗って

 モアス氏は仮想通貨の世界ですぐさま信頼を勝ち得た。とくに仮想通貨の価値評価と価格予測でだ。2017年中は多くの予想を的中させた。なにがすばらしいかというと、彼は今年になって仮想通貨市場の分析を始めたばかりだということを考えてもらえばわかるだろう。

 「わずか半年前だった。まだ株式市場がバブル状態で仮想通貨には目もくれていなかった。ほかのウォールストリートの他の連中と同じだった。ビットコインという名前を何気なく聞いても、なんかうさんくさい考えだと思って気にも止めなかった。」とモアス氏は言う。

 「だれかが私にイーサリアムを見てみろといったので、その週末にビットコインとあわせ研究してみた。すると数時間のうちにいったい何が起きているのかを理解できた。すぐに飛びついて、それ以来、もう後戻りはしなかった。」

 おかげで商売繁盛。今では顧客の90%が仮想通貨のお勧めを聞いてくるという。

 グーグルでビットコインを検索すると彼の名前が1000以上も出てくるのは何ら不思議ではない。彼のツイッターのフォロアーはこの数ヶ月で7000から22000に急増した。

 フランスの哲学者ヴォルテールは「大きな権力には大きな責任がともなう」との名言を残した。仮想通貨への投資について人々の決定に影響を与えるモアス氏にとっては十分に認識している視点だ。

 「うれしいしやりがいもあるが、自分の双肩には多くの責任がかかっていることを理解しなければならない。私には、私が勧めた商品に多くの生活費を投資している投入している顧客が世界中にいる」と言う。

 「私のところには、1ビットコインの8分の1、2000ドル(約22万6000円)がいつか20000ドル(約226万円)になるのを願い、それで家族全体を貧困から救えると考えている第三世界の人からも電話がかかってくる。」

 周知の通り金持ちからカネを取り、貧しい人に還元するモアス氏は、仮想通貨や将来の評価について洞察力があり信頼できる評論家になっている。モアス氏が数字をはじき出す時は体を起こして聞くべきだろう。

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