リップル社のブラッド・ガーリングハウス氏は、フォーチュン主催のカンファレンスに登壇し、フェイスブックの仮想通貨リブラ発表のおかげで今週の契約数がリップル史上最多になる見込みであることを明かした。また、米国送金大手マネーグラムとの提携で仮想通貨XRPが上昇しなかった理由についても言及した。
リップルとリブラ
今週フェイスブックが発表した仮想通貨プロジェクト「リブラ」についてガーリングハウス氏は、「フェイスブックは『もうウェスタンユニオンはいらない』と言ったようなものだ」と指摘。これによって「銀行はもしフェイスブックが(クロスボーダー送金市場で)競争相手になるのなら、SWIFTのような技術に頼れないことに気づいたはず」とし、リップル社のブロックチェーンを使った決済サービスにとっても追い風になったという見方を示した。
実際、今週の契約数はリップル史上で最も多くなる見込みだという。ガーリングハウス氏は、リブラを率いるデビッド・マーカス氏に「シャンパン1ケースを送りたい」と話した。
ちなみにガーリングハウス氏は、フェイスブックの発表直前、フェイスブックによってリップルの価値は下がるか?という質問に対して「そうは思わない」と回答。両社のサービスには大きな違いがあり、「フェイスブックは消費者を基盤にしたサービス」であるのに対して「リップルはエンタープライズ向けでインフラ構築」であり世界の様々な決済ネットワークを結びつけることを目指していると説明した。
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マネーグラムとの提携もXRPはなぜ上がらない?
今週リップルは、米国送金大手マネーグラムとの提携を発表。マネーグラムはリップルの決済サービスでXRPの利用が義務になるxRapidを利用する方針も示したが、XRPの価格はほとんど動かなかった。この理由について聞かれたガーリングハウス氏は、次のように答えた。
「率直に、この業界にはハイプ(誇張)が多い。このエコシステムを見ている人々にとって、何がノイズで何がリアルなのか理解するのが難しい」
ガーリングハウス氏は、今週、例えば米国の経済番組CNBCで「フェイスブックが仮想通貨を立ち上げる」というヘッドラインを見たと発言。しかし現実はで「フェイスブックは仮想通貨を立ち上げていない」とし、「フェイスブックはホワイトペーパーを書いて今後の計画を示し、 我々は今後1年でリブラと言われる仮想通貨を見ることになる」という解釈が正しいと述べた。
その上で同氏は改めて、「マネーグラムとのディールは、リップルにとって大きい。仮想通貨業界全体にとってはもっと大きな話だ」と主張した。
またガーリングハウス氏は、ユーティリティーがなければ仮想通貨の存在意義がないと主張。リップル社は、「特定の顧客を対象に特定の問題解決のためにブロックチェーンの利用を進めてきた」と解説し、金融機関を相手にクロスボーダー(国をまたいだ)送金市場の非効率性、コスト高などを解消していくことの必要性を改めて述べた。
一方、ビットコインとXRPは共存していくという見方も示した。ガーリングハウス氏は、XRPがブリッジ通貨として役割を果たして決済ソリューションとして使われる一方、ビットコインはデジタルゴールド、価値保存手段として機能するだろうと発言。「私はビットコインを持っているし、ビットコイン・ロングだ」と述べた。