仮想通貨業界の弁護士たちは、米証券取引委員会(SEC)とリップルとの訴訟の結果が、コインベースとバイナンスに対する訴訟に影響を与える可能性があるとコインテレグラフに語った。
リップルは2020年12月以降、SECと法廷闘争を繰り広げており、同社は2013年以降、XRPを未登録の証券として提供していたとして告発されている。
6月6日には、SECがコインベースを相手取り、同様の未登録証券提供の疑いで訴訟を起こした。また、その前日にはバイナンスに対しても同様の訴訟が起こされた。
弁護士のジェームズ・マーフィー氏は、リップルに有利な結果が得られれば、SECのコインベースおよびバイナンスに対する訴訟の根拠が「完全に損なわれる」だろうとツイッターで説明した。「SEC v.リップル訴訟の判決でXRPトークンが証券でないと判断されれば、コインベースおよびバイナンス訴訟の根拠が揺らぐだろう」。
ただし、マーフィー氏は「誰もが興奮する前に」、リップル訴訟でのトーレス判事の判決が、これらの最近の訴訟に対する「法的拘束力のある判例」にはならないと警告した。つまり、コインベースとバイナンス訴訟の裁判官は「同じように判断する義務がない」ということだ。控訴裁判所と最高裁判所の判断にしかその影響力はない。
リップル支持派の弁護士ジョン・ディートン氏は、SECはリップル訴訟でのトーレス判事の判断が「近い将来」に公表されることを「十分に認識している」とコインテレグラフに語った。ディートン氏は、SECがリップル訴訟で不利な結果が出る可能性があるため、その結果が出る前に新たな訴訟を起こしたのだと考えている。「SECは、その判断が悪い結果になる可能性があるため、政治的および法的な勢いを失う前に、これらの訴訟を起こすことを望んだ」と彼はみている。
マーフィー氏は、コインベース訴訟の裁判官であるリアデン判事が、XRPが証券かどうかの判断に「非常に注意深く目を向ける」と考えている(ちなみにリアデン判事とトーレス判事はマンハッタン南部地区の同じ裁判所で仕事をしている)。マーフィー氏はリアデン判事が、コインベースの訴状で挙げられた13のトークンが証券かどうかについて「同じ推論に従うだろう」と考えている。
リップル支持派の弁護士ビル・モーガン氏も、リップル訴訟の結果がバイナンスとコインベースの訴訟に影響を与える可能性があると言う。モーガン氏は、リップル訴訟の結果は、業界やSECにとって「有利」に働く可能性があると説明した。「リップル訴訟で大敗すれば、コインベースとバイナンスに対して実質的な判決が下されることになる。もちろん、コインベースとバイナンスは、XRPの販売が投資契約ではないということを利用するだろう」と述べている。
ディートン氏は、実際に2022年にSECがコインベースとバイナンスを訴えることを予測しており、「SECがリップルとXRP訴訟にどのように取り組んでいるか」によって予測していたという。
ただし、彼は大手金融機関が仮想通貨市場の大きなシェアを獲得すると、SECが仮想通貨企業に対する行動を抑えるだろうと考えている。「JPモルガンやゴールドマンサックスなどの伝統的なプレイヤーが仮想通貨市場でより大きなシェアを持つようになれば、SECはより合理的になるだろう」と彼は語った。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン