カナダ企業「キック・インタラクティブ」のテッド・リビングストンCEOが9月24日、同社チャットアプリ「キック(Kik)」の閉鎖、19名までのチーム縮小、独自仮想通貨「キン(Kin)」購入者の増加に注力することを発表した

リビングストンCEOは、キンはすでに数十のアプリ上で毎月200万人のアクティブな稼ぎ手がいること、毎月60万人に決済に利用されていると主張。キンを取り扱う仮想通貨取引所が少ないため、購入者をさらに増やし、使用してもらいエコシステムを成長させるという。キンのブロックチェーンの性能強化、モバイルウォレット開発の意向も明らかにした。

リビングストンCEOの発表に先立ち、イスラエルのテック系メディア「シーテック(CTech)」が9月23日、匿名の関係者2名からの情報として、キックアプリの閉鎖を検討中であること、イスラエル子会社の従業員70名を解雇したことを報じていた。記事によれば、レイオフを通知されたイスラエルの従業員は新会社に異動する選択肢も提示されたという。

記事掲載時、コインテレグラフがキック・インタラクティブに問い合わたものの、同社は応じていない。

米規制当局SECとの法廷闘争

2019年6月、米国証券取引委員会(SEC)が、キック・インタラクティブを1億ドル(約107億円)の未登録証券を発行したとして訴追した

SECによると同社は、メッセージアプリ事業の失敗から資金繰りが苦しくなり、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を実施。約1億ドル(約108億円)を調達した。キンを発行し「需要が高まるにつれてトークンの価値が上がる」と主張、投資家に対して将来の利益を約束したという。こうしたトークンは証券法の規制対象であると、SECは判断。SECは、永久差し止め、罰金などを求めている。

これに対しキック・インタラクティブは、反論文書を2019年8月に提出。SECがキンの販売に関する関係者の引用文を文脈から取り出して解釈し、事実を捻じ曲げて伝えていると主張した。キック側はSECに徹底抗戦する姿勢を示している

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版