SEC(米証券取引委員会)から約1億ドル(約106億円)の未登録証券を発行したとして訴追されているカナダのチャットアプリ「キック(Kik)」が、131ページに及ぶ反論文書を提出した。

SECによるとキックは、同社製品のメッセージアプリ事業に失敗したことから資金繰りが苦しくなり、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を実施し、「キン(Kin)」トークンを発行して1億ドルを調達。「需要が高まるにつれてトークンの価値が上がる」と主張し、投資家に対して将来の利益を約束したという。こうしたトークンは証券法の規制対象と考えられる。

SECは、永久差し止め、罰金などを検討している。

これに対してキックは反論文書を提出。ザ・ブロックが一報を報じた

キックは、SECがキンの販売に関する関係者の引用文を文脈から取り出して解釈し、事実を捻じ曲げて伝えていると反論。例えば、キックのコンサルがキントークンが証券に該当する可能性を指摘した証拠としてSECは、以下の引用文を使用した。

「DAOレポートの前にキックはコンサルタントの1人からキンの提供はSECに登録する必要がある証券である可能性があり、未登録のパブリックの証券発行は米国では合法ではないと知らされていた」

しかし、キックの最新文書によると、この話には続きがある。

「未登録のパブリックの証券発行は米国では合法ではない。コミュニティー通貨の場合は、セキュリティーではないと主張する良い論拠を得られる。あなたはアプリ内の購入のために使われる財産のユニット売っているに過ぎない

キックは、SECが引用したコンサルタントはSECの主張とは真逆のことを言っていたと結論づけた。

トークンが証券に該当するかどうかを巡るいわゆる「有価証券論争」は長期にわたって続いている。「証券でない」とSECの委員長や委員から明言されたトークンは、これまでのところビットコインとイーサリアムのみ。他のトークンはどのような判断をされるかを図る試金石としてキックのケースは注目されている。