現在開催中の18年ダボス会議でのビットコインの立場はこれまでのところ劣勢だ。ジョセフ・スティグリッツ氏を含めた経済学者たちは揃って法定通貨の優越性について言明している。

 米コロンビア大教授でノーベル経済学賞授賞者のスティグリッツ氏はブルームバーグTVの取材に答え、ビットコインのマネーロンダリング等への悪用に対する厳しい取締が実現すればビットコインに対する需要はなくなり「存在しなくなる」だろうとした。

 スティグリッツ氏は「私たちにはドルという交換手段としての貨幣がある。取引はドルで行える。では、なぜビットコインが必要か? その匿名性からだ」と説明した。

 スイス国立銀行(中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁も、スティグリッツ氏の意見に同調し、講演でビットコインの使用方法に対する厳格な規制実施への賛成を表明した。

 ジョルダン総裁は「似たような活動は同じように取り締まらなくてはいけない、という重要な原則がある。ビットコインやその他の仮想通貨は、他の投資対象の貨幣と同様の特徴を持っている」と述べた。

 その上で「一方で現金通貨は厳しく規制しながら、もう一方ではほとんどの取引で使用できる匿名の通貨を野放しのままにしておくことはできない」という見解を示した。

 ダボス会議はこれまでビットコインとブロックチェーン技術の支持者と反対者だけでなく、中立を貫く人も含めた議論の場となってきた。今年はコインテレグラフも参加している。

 今月の仮想通貨市場は下落傾向が続いているが、ビットコインの価格予想は明らかにより現実的なものへと落ち着いてきているし、これまで徹底的に批判してきた人たちの態度も和らいできている。

 同じくノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー氏は、17年9月にビットコインを「バブルの良い例」だと評していたが、先週になって「究極を言うと、ビットコインをどう理解していいかわからない」という見解を示した。