ブロックチェーンを活用したゲーム「The Sandbox(サンドボックス)」や「F1 Delta Time(F1デルタタイム)」、「Crazy Defence Heroes(クレイジーディフェンスヒーローズ)」などを手掛ける、アニモカ・ブランズ(Animoca Brands)は、2020年1~4月の収益が1050万豪ドル(約7.8億円)だったと発表した。
アニモカの発表によれば、2020年第1四半期の収益は前年同期比44%増の620万豪ドル(約4.6億円)となり、「四半期ベースで過去最高」を記録した。また4月単体だけの収益は430万豪ドル(約3.2億円)となり、こちらも単月ベースでは過去最高に達したという。
アニモカでは、4月末時点で法定通貨と仮想通貨(暗号資産)を合わせて870万豪ドル(約6.4億円)を保有しているという。このうち110万豪ドルはビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)の形で所有しており、ほかの仮想通貨ベースで160万豪ドル相当を所有しているという。
アニモカは、ビットコインとイーサリアムベースの資産が大幅に増加したと報告しており、これはサンドボックスの「LAND」などのノン・ファンジブル・トークン(NFT)の販売などによるものだという。
非代替性トークンとも呼ばれるNFTは、ブロックチェーン基盤で発行されるもので、1つ1つのトークンが固有の価値を持つ。個人のプレイヤーのトークン所有権が保証されており、固有のアセット(資産)になるものだ。
ブロックチェーンゲームではキャラクターやアイテムとしてNFTが発行されているが、サンドボックスでは仮想空間上の「土地(LAND)」としてNFTが販売されている。
NFTが進める「財産権革命」
アニモカ共同創設者のヤット・シュウ氏は、2017年にフュールパワード(Fuelpowered)と呼ぶバンクーバーを拠点とする小さな会社を買収した後、NFTを発見したと、コインテレグラフのインタビューの中で語っている。ちなみにフュールパワードの共同創設者であるミック・ナエ―ム氏は、クリプトキティーズ(Crypto Kitties)の共同創業者となっている。
シュウ氏は、NFTがゲームに与える影響を、封建時代のヨーロッパの所有権導入に例えて説明している。ゲーム内のアイテムに対してプレイヤーが所有権を持つことは、ゲーマーがゲームのプレイに費やす時間と労力を埋め合わせるものになると主張している。
シュウ氏はまた、熱心な支持を集めるゲーム会社を買収し、ブロックチェーン技術のメリットを提供してくという戦略についても語っている。シュウ氏は、ゲームの世界でブロックチェーン技術がメインストリームとして採用されることには、ブロックチェーン技術の複雑さを隠す巧みなゲームデザインが重要になるとも語っている。
「私たちは才能のあるチームを獲得するだけではなく...既にゲームをプレイしている顧客を獲得している。…私たちは彼らにモバイルゲームを作り続けて欲しいから買収しているわけではない。最終的にそれらをブロックチェーンに移行させるという非常に明確な方向性を持っている」
新型コロナとゲーム企業
ヤット・シュウ氏は、新型コロナウィルスのパンデミックが短期的にだが、ゲームユーザーを大幅に増加させる触媒になったと語る一方、新型コロナの影響がなくなり、世界が正常に戻った時には一部のユーザーが脱落する可能性もあると指摘している。
しかし、シュウ氏は新型コロナウィルスによるロックダウンが、長期的な変化をもたらすとも語っている。「生まれ変わった」ゲーマーの間で「行動の変容」をもたらし、ゲームがエンターテイメントにおける中心的な存在になると考えている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン