仮想通貨取引所ビットメックスの共同創業者アーサー・ヘイズ氏は、仮想通貨市場における「4年サイクル」が終焉を迎えたと主張する。ただし、その理由は多くの投資家が考えるものとは異なるという。

ヘイズ氏は10月9日に投稿したブログの中で、「第4サイクルの4周年を迎えるにあたり、トレーダーたちは過去のパターンを当てはめて、この強気相場の終わりを予測しようとしている」と述べた。

しかし同氏は、「過去には機能した4年サイクルも、もはや適用できない」と述べ、「今回は失敗する」と断言した。

ヘイズ氏によると、ビットコイン(BTC)の価格サイクルを決定づけるのは、半減期などの任意的な4年周期ではなく、主にドルと人民元という2つの通貨におけるマネーサプライの変化だという。

過去のサイクルが終わったのは「金融引き締めが行われた時」であり、時間の経過が原因ではなかったと指摘した。

現在のサイクルは「まったく異なる」

ヘイズ氏は、今回の相場サイクルが過去と異なる理由としていくつかの要因を挙げている。

米財務省がリバースレポプログラムから2兆5000億ドルを市場に放出し、短期国債の発行を通じて流動性を供給していること、さらにトランプ大統領が「インフレ容認の緩和政策」によって債務を成長で解消しようとしていることなどだ。

また、銀行規制の緩和によって貸出を拡大する計画も進められている。

加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ率が目標を上回っているにもかかわらず利下げを再開しており、CME先物市場のデータによると、10月の追加利下げの確率は94%、12月にも80%の確率でさらに利下げが予想されている。

米中のマネー拡大が鍵を握る

ヘイズ氏は、ビットコインの最初の強気相場はFRBの量的緩和と中国の信用拡大が重なった結果だと指摘。2013年末に米中両国の中央銀行が資金供給を絞ったことで相場が終わったという。

2回目の「ICOサイクル」では、主な原動力はドルではなく、2015年の中国人民元の信用拡大と通貨切り下げだった。中国の信用成長が鈍化し、ドルの金融環境が引き締まった時に強気市場は崩壊した。

3回目の「コロナサイクル」では、ビットコインの上昇はドルの流動性だけに支えられ、中国は相対的に抑制的な姿勢を取っていた。2021年末にFRBが引き締めに転じたことでこのサイクルは終了したという。

「今回は中国がサイクルを終わらせない」

ヘイズ氏は、今回の相場では中国が過去ほど強力に上昇を牽引しないものの、中国の政策当局は「デフレの封じ込め」に動いており、流動性を吸収し続ける局面ではないと指摘する。

デフレ的な逆風から、少なくとも中立的、もしくはやや緩和的な金融政策へと転じることで、サイクルを終わらせかねない要因が排除され、米国の金融緩和が中国のデフレに相殺されずにビットコインを押し上げる環境が整っているという。

「ワシントンと北京の“マネーの支配者”たちの言葉を聞け。彼らは明確に“金利を低くし、資金を潤沢にする”と言っている。したがって、ビットコインはこの高い確率で訪れる未来を織り込んで上昇を続ける。王は死んだ、されど王は生きるのだ」
Source: Arthur Hayes

なお根強い「4年サイクル」信仰

オンチェーン分析企業グラスノードは8月、「サイクル的な観点から見ると、ビットコインの値動きは過去のパターンを想起させる」と、4年サイクル説がいまだ健在との見解を示していた

また、仮想通貨取引所ジェミナイのアジア太平洋地域責任者サード・アフメド氏は、コインテレグラフとのインタビューで「4年サイクルについて言えば、現実的には今後も何らかの形でサイクルは続く可能性が高い」と語っている

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