R3リサーチャー、中銀のデジタル通貨が年内開始と予測

 グローバル・バンキング合弁企業で企業向けソフトウェア開発を手がけるR3社のリサーチディレクター、アンソニー・ルイス氏は4日、韓国で開催されたデコノミー(Deconomy)のパネルディスカッションで、今年中に中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)が導入されるとの予測を示した。

 「(CBDCの)卸売利用については、今年中と考えている。特定の支払いに関する問題を解決する任務を担う中央銀行と話し合いを行ってきたが、彼らが検討しているソリューションの1つがブロックチェーンタイプのプラットフォームである」と、彼は述べた。

 「小売CBDC」が一般向けなのとは対照的に、「CBDCの卸売型」はその利用が金融機関や市場に制限される。ルイス氏以外のパネリストも全員、卸売CBDCだけを楽観的にみていた。IBMでのCBDCリーダーで、かつてシンガポール中央銀行でCBDCリサーチャーも務めたスタンリー・ヤング氏は、無数の個人口座を持つ「数百万、数十億の市民向けの」小売CBDCの発行は「マーケットとクレジットのリスクを本質的に高める」と、主張した。

 同様の論調で、国際決済銀行(BIS)は3月に、汎用の小売CBDCは、商業銀行預金財源をより不安定にする可能性があり、銀行への取り付け騒ぎを加速させる可能性があると述べた

 ルイス氏は、金融システムの構造に分化を導入することで、分散型台帳テクノロジー(DLT)がもたらすセキュリティ面の利点を強調した。

「二次的な(分散型)システムを主要な(中央集権型)システムのようにしてはならない。そうでなければ、主要システムが攻撃により機能停止した場合に、攻撃を仕掛けた人は同じ手法を繰り返すだけで良くなってしまう。そうなるともう回復力の問題ではなく、単に別のIPアドレスを攻撃するだけだ」

 昨年12月にコインテレグラフが報じた通り、それでも金融セクターのリサーチャーは、CBDCがもたらす可能性のある数多くの利点を認識している。これらの利点には、摩擦のないオンラインの支払い、高レバレッジの銀行に頼ることの多い先進諸国の消費者の安全の強化、金融包摂の改善が含まれる。

 早くも16年には、CBDCの金融介入構造への影響の可能性に対する関心により、イングランド銀行と中国人民銀行が独自のデジタル通貨発行のアイデアを検討していた。今年1月、マレーシア、台湾、ポーランド、スイスの銀行、および日本銀行と欧州中央銀行が、分散型台帳システム利用の調査を行いニュースとなった。2月には、欧州委員会がブロックチェーンをめぐる経済の統合を目指した専用のブロックチェーン観測所を設置した。