破産したカナダの仮想通貨取引所クアドリガCXの創業者が、顧客の資金を別の取引所で自身の証拠金取引などに利用していたことが判明した。会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)が6月19日にカナダ・ノバスコシア州最高裁判所に提出した第5次報告書で明らかになった。

クアドリガは、創業者であるコットン氏の急死後、推定11万5000人の顧客の158億円分の仮想通貨にアクセスできない状態が続いている。

同報告書でEYは、クアドリガの運営は財務報告と運営管理の観点から「著しい欠陥」があったと指摘。ほとんどの活動は単一の個人(急死したコットン氏)によるもので、クアドリガとユーザーの資金の区別なども一切なかったとしている。クアドリガでは、ユーザーの仮想通貨は同取引所のウォレットに個別に保管はされていなかったという。

「著しい量の仮想通貨が、クアドリガとは別の競合プラットフォームの個人アカウントに移動させられており、コットン氏が管理していた。ユーザーの仮想通貨はこういった取引所上で取引され、ある状況では、コットン氏が開設したアカウントでの証拠金取引の証拠金として使用されていた

コットン氏は、クアドリガに偽名を使って偽のIDアカウントを作成。そこにサポートされていない「デポジット」を入金し、取引に使用していた。収益を粉飾し、ユーザーとの見せかけの取引で、最終的にはユーザーが入金した仮想通貨を引き出していたという。取引損失などでクアドリガの残高が減少していったとしている。

EYは、ウォレット保持者の身元確認や移動された金額はまだできていないとしているが、ユーザー数は7万6000人、法定通貨と仮想通貨合わせて2億1460万カナダドル(約170億円)相当と言われている。

競合取引所は、クアドリガのウォレットから2016~2019年の間に9,450ビットコイン(BTC)、387,738イーサリアム(ETH)、239,020ライトコイン(LTC)を受け取ったとしている。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版