「プルーフ・オブ・ステーク アライアンス(POSA)」は5月14日、ステーク・アズ・ア・サービス(STaaS。Stake-as-a-Service)などステーキングサービス市場を取り巻く規制の改善に向け、米証券取引委員会(SEC)などに対し活動していると発表した。
POSAは、コンセンサスアルゴリズム「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」および関連サービスに関し、規制当局・政策立案者などへの働きかけや教育を目指す団体。POSAの最初の目的は、PoS関連の市場・業界に関連する法制および税制について、規制上の明確さをもたらすこととしている。加盟組織は、Web3財団(W3F)、仮想通貨(暗号資産)取引所コインベースの機関投資家向けサービス「コインベース・カストディ」、仮想通貨テゾス(XTZ)、仮想通貨取引所バイナンスUSなどの17組織(2020年5月中旬現在)。
米証券取引委員会(SEC)との会談
発表によると、POSAはこの2月にSECと会談し、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)に代わるコンセンサスアルゴリズムとして、PoSを採用するブロックチェーン・仮想通貨が増加・拡大している点を話し合ったという。PoSテクノロジーに関する知見の共有をはじめ、STaaSに関する規制・枠組みについて、SECとの生産的な対話を支援することを目的としていたそうだ。
POSAは、国際的な法律事務所ポールヘイスティングスLLPによる法的分析を含む白書を提出しており、「法的分析」に関する対話は継続中であると述べた。
POSA創設者のエヴァン・ワイス氏は、SECがPoSおよびステーキングについて理解しており、コインテレグラフに「非常に感銘を受けた」と明かした。
「SECが我々と会い、ここ米国において、ステーキングがどのようにすれば成功するか対話を始めてくれた点に感謝する。この議論は、お互いに学び合う継続的な機会と見なしており、消費者とトークン保有者を確実に保護しながら、PoSやステーキングが米国で繁栄する可能性を高める手助けをしたい」
コインベース・カストディのプロダクトマネージャーを務めるブライス・ファーガソン氏は、「業界が規制当局とオープンな議論を行い、ステーキングサービス提供者が特定の基準を遵守することが重要だ。業界関係者は、ともに行動することで、PoSおよび関連サービスの繁栄を保証できる」と述べた。
業界主導の自主規制を提案
またPOSAは、規制上の懸念を乗り越えるため、STaaSプロバイダーに対して、複数の項目を業界主導の標準として採用することを提唱した。
1点目は、「投資アドバイスを行わない」ことだ。サービス提供者は、市場参加者に投資アドバイスを提供したり、市場参加者が特定PoSデジタル資産を購入すべきかどうか推奨したりしないこととした。またサービス提供者は、ステーキングされたデジタル資産の価値が上昇する可能性があることを表明しないことも含めている。
2点目は「非金融用語の使用」だ。サービス提供者は、「利子」「配当」「利回り」などの単語を使用しないこと、利益機会としてのステーキング報酬を広告・宣伝しないこととしている。POSAは、「インフレーション」、「ステーキング特典(またはステーキング報酬。Staking Reward)」といった用語を提案している。
3点目は、「セキュリティ」と「PoSネットワークへの参加」の重視としている。サービス提供者が展開する広告において、(顧客に対して)セキュリティ強化およびPoSネットワークへの参加をうながすことを重視する必要があるとしている。
4点目は「PoSへのアクセス提供重視」。サービス提供者は、PoSの(ステーキング)インフレ率を制御・管理していることを示す発言を控えるべきとしている。
5点目は「獲得報酬額の保証を行わない」。サービス提供者は、サービスなどに基づき獲得するステーキング報酬額について、いかなる保証・約束も提供しないこととしている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン