民間の保険会社は、亡くなったときに備えられる保険や、病気・ケガに備えられる保険などを数多く取り扱っている。また老後の生活資金を、民間の保険で準備する人は珍しくない。

民間保険は、種類や特徴を理解したうえで自分自身に合ったものを選ぶことが大切だ。今回は、民間保険の種類や保障(補償)内容、加入を決めるときのポイントについてわかりやすく解説する。

民間保険とは

民間保険は、公的保険(社会保険)の不足分をカバーするために、民間の保険会社が販売する金融商品だ。保険会社が定める要件に該当したとき、保険金や給付金などが支払われる。要件を満たす人は強制加入となる公的保険とは異なり、民間保険に加入するかどうかは個人の判断に任されている。

民間保険は、以下のとおり第1〜第3分野に分かれている。

第1分野は生命保険会社、第2分野は損害保険会社でしか加入できない。第3分野の保険は、生命保険会社と損害保険会社の両方で加入できる。

また第1分野と第3分野の保険に加入するときは、保険の対象となる人(被保険者)の健康状態を告知し、保険会社の審査を受けなければならない。健康状態によっては、加入を断られる場合がある。

ここからは、第1分野と第3分野の保険について、備える目的ごとに種類や特徴を解説していく。

万一の場合に備えられる保険

民間保険のうち、亡くなったときに保険金が支払われるのが生命保険(死亡保険)だ。亡くなったときだけでなく、保険会社が定める高度障害状態に該当した場合も、保険金が支払われるのが一般的である。生命保険には、以下の種類がある。

  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 終身保険
  • 養老保険

定期保険

定期保険は、保障の有効期間が「10年」や「55歳まで」など、一定期間である保険だ。保険が満期になると契約が終了となるものもあれば、80歳や90歳など所定の年齢まで更新できるものもある。

定期保険は、いわゆる掛け捨て型の保険であり、手ごろな保険料負担で手厚い死亡保障を得られる点がメリットだ。ただし定期保険を契約の途中で解約しても、払い込んだ保険料は基本的にわずかしか戻ってこない。中には、まったく戻ってこないものもある。

収入保障保険

収入保障保険とは、亡くなったときに保険期間が終わるまで、毎年一定額の保険金が支払われる保険だ。たとえば保険金額が月額15万円、保険期間の満了が55歳であった場合、45歳で亡くなると55歳までの10年間にわたって、月額15万円の年金が支払われる。受け取れる保険の総額は、15万円×12カ月×10年=1800万円だ。

定期保険は、まとまった額の保険金が一括で支払われるため、受け取った人が使い込んでしまうケースは少なくない。収入保障保険であれば保険金が分割で支払われるため、受け取った人は生活費や教育費、住居費などに効果的に充てられる。

終身保険

終身保険は、一生涯にわたって死亡保障が得られる保険だ。契約の途中で解約すると、払い込んだ保険料以上の解約返戻金が戻ってくることがあるため、資産形成を目的に終身保険に加入している人もいる。

終身保険には、保険料を一生涯にわたって払い込むタイプと、一定の年齢または期間まで払込を済ませるタイプの2種類がある。

養老保険

養老保険は、保障が有効である期間中に亡くなったときは死亡保険金が、期間が満了したときに生きている場合は、満期保険金が支払われる。死亡保険金と満期保険金は、同額だ。

終身保険と同様に、契約の途中で解約すると解約返戻金が受け取れるのが一般的だ。ただし解約返戻金や満期返戻金が、支払った保険料を下回ることがある。

病気やケガ、介護などに備えられる保険

病気やケガなど身近に起こりうるリスクに備えられる保険は、以下のとおりだ。

  • 医療保険
  • がん保険
  • 傷害保険
  • 就業不能保険
  • 介護保険

医療保険

医療保険とは、病気やケガで入院したり手術をしたりした場合に、給付金が支払われる保険である。

日本国民は、基本的に健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に加入しているため、医療費の自己負担が3割となる。ひと月の自己負担額が高くなってしまった場合、高額療養費制度を申請するとさらに自己負担を緩和できる。

一方で公的医療保険の保障を受けても、自己負担が0円にはならない。民間の医療保険に加入することで、公的な医療保険が適用されたあとの医療費自己負担や、差額ベッド代、食事代などの支払いに備えられる。また医療保険は、特約を付帯するとがんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)などの保障を手厚くできるのが一般的だ。

がん保険

がん保険は、がんと診断された場合に、給付金が支払われる保険だ。がんと診断されたときに、まとまった一時金が支払われるタイプや、「抗がん剤治療」「放射線治療」など、受けたがん治療に応じて給付金が支払われるタイプ、がん治療で自己負担した医療費と、同額の保険金が支払われるタイプなど、保険会社によって取り扱いはさまざまである。

医療技術の進歩により、がんは不治の病ではなくなっている。しかし、がんには、再発リスクがあり、退院後も通院をして闘病しながら生活を送る人は少なくない。また公的医療保険の対象外であり全額自己負担である「自由診療」を選択すると、治療費が高額になりやすい。がん保険に加入することで、長期にわたるがん治療や自由診療に手厚く備えられる。

傷害保険

傷害保険は、ケガによって入院・手術をした場合や、亡くなったり所定の後遺障害が残ったりした場合に保険金が支払われる。ケガで通院をしたときに、保険金が支払われるものもある。ただし病気で入院・手術をしても、保険金は支払われない。

就業不能保険

就業不能保険は、病気・ケガなどで働けなくなったときや、所定の障害状態に該当した場合などに保険金が支払われる。保険金は、働けなくなってから60日または180日の免責期間が経過したあとに支給が開始される。保険金の給付期間は「60歳まで」のように年齢で決まるのが一般的だ。

健康保険に加入している人が働けなくなると、傷病手当金を受給できる場合があるが、支給額は賃金の約2/3であり支給期間は最長1年半だ。就業不能保険に加入することで、傷病手当金の不足分をカバーし、働けなくなったときに手厚く備えられる。

就業不能保険は、生命保険会社で加入できる。損害保険会社で加入できる「所得補償保険」は、就業不能保険と同じく働けなくなったときに備えられる保険だが、免責期間や保険金支払期間が短い傾向にある。

介護保険

介護保険は、介護状態に備えられる保険だ。病気やケガなどで所定の介護が必要な状態になると、一定期間にわたって毎年一定額の年金が支払われる「介護年金」や、まとまった「介護一時金」、あるいはその両方を受け取れる。

公的な介護保険に加入している人は、介護が必要な状態となり要介護認定を受けると、訪問介護や訪問入浴などの介護サービスが受けられる。介護年金は、介護サービスの自己負担分や食事代など毎月かかる費用に、介護一時金はマイホームの改修費用や特殊寝台の購入費用などにそれぞれ充てられる。

また保険会社によっては、所定の認知症や軽度認知障害と診断された場合に保険金が支払われる「認知症保険」を取り扱っている。

老後資金や教育資金を準備できる保険

民間保険の中には、以下のように老後資金や教育資金などの準備に特化した商品がある。

  • 個人年金保険
  • 学資保険

個人年金保険

個人年金保険は、老後の年金を自分自身で準備できる保険だ。保険料を支払うと、60歳や65歳など契約したときに定めた年齢に達したとき、一定期間または一生涯にわたって年金が支払われる。

老後生活では、国から支給される「老齢年金」が主な収入源となるのが一般的だ。老齢年金の受給額は、個人によって大幅に異なる。老齢年金の受給だけでは、生活が困難であるケースは珍しくない。個人年金保険に加入すると老齢年金の不足分をカバーでき、老後生活における金銭的な不安を軽減できるだろう。

学資保険(こども保険)

学資保険とは、保険料を支払うことで子供が15歳や18歳などの年齢になると保険金が支払われる保険だ。小学校や中学校、高校などの進学時に祝金が受け取れる学資保険もある。

学資保険の多くには、保険料払込免除特約がセットされており、保険料を支払っている途中で親が亡くなった場合、以後の保険料払込が免除される。そして子供は、予定通りのタイミングで保険金や祝金を受け取れる仕組みだ。

民間保険の選び方

民間保険は、不測の事態が発生したときに、誰がどのように困るのかを考えることが大切だ。

たとえば自分自身が亡くなったあとに残された家族が、生活費や教育費などの支払いで困る可能性がある場合、生命保険に加入して備えるとよい。未成年の子供がいる場合、一般的に数千万円ほどの手厚い死亡保障が必要である。そのため定期保険や収入保障保険など、手ごろな保険料負担で手厚い保障が得られる保険を検討するとよい。

独身であり亡くなったあとに金銭的に困る家族がいない場合、亡くなったときに備える必要性は低いだろう。一方で病気・ケガをしたときの医療費の支払いや収入の減少に、預貯金や社会保険制度で賄えない恐れがある場合は、医療保険やがん保険を検討する。

自営業やフリーランスのようにそもそも傷病手当金を受給できない人は、病気やケガで働けなくなると収入が大幅に低下しやすいため、就業不能保険や所得補償保険を検討しよう。

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