分散型金融プロトコルのポリネットワーク(Poly Network)は、6億1000万ドルのハッキングに関与してた人物にセキュリティーアドバイザー就任を要請した。

17日のアップデートによれば、ポリネットワークのチームは、今回のハッカーにチーフセキュリティアドバイザーの地位を提供すると述べた。さらに、ポリでは、ポリが「ミスター・ホワイトハット」と呼ぶ今回のハッカーに50万ドルの報奨金を与える考えだ(ハッカー側は既に一度拒否しているが)。

「ポリネットワークは、ミスター・ホワイトハットが資産の管理権をポリネットワークとそのユーザーに迅速に返還すると確信しており、ミスター・ホワイトハットに法的責任を負わせるつもりはない」と、ポリのチームは述べている。「以前の発表と公開されたメッセージで述べたように、ポリネットワークのセキュリティ強化に退位するミスター・ホワイトハットの卓越した貢献に感謝している」。

このハッキングは8月10日に報告され、ポリゴンネットワークやバイナンススマートチェーン、イーサリアムのネットワークから約6億1000万ドルが不正流出したと指摘された。その後、ハッカーはイーサリアムのトランザクションに埋め込まれたメッセージを介してポリのチームに連絡を取り、資金を返還する意向を示していた。ポリは攻撃者がホワイトハッカーであると判断し、50万ドルの報奨金の提供を表明していた

ポリネットワークのチームは「安全で堅牢な分散システムを構築するというビジョンを共有していると信じているため」、将来のプロジェクト開発に「ミスター・ホワイトハットのようなより多くの専門家が関与することを期待している」と述べている。このハッカーは、凍結されたテザー(USDT)3300万ドル分を除いて資金を返還しているが、送金用に設定されたマルチシグウォレットの鍵はまだ引渡していない。

分散型金融で最大のハッキング事件の攻撃者が、標的となった企業から報酬とポジションを提示されるのは、かなり異例のケースだろう。ハッカーの身元はまだ公表されていないが、中国のサイバーセキュリティ企業SlowMistはハッキングのニュースが報じられた後、攻撃者のメールアドレスやIPアドレスなどを特定したと投稿していた。 

数千人のユーザーが一時的に資金にアクセスできなくなったことを除くと、先週のイベントはポリネットワークへのメディアの注目を集める結果になったようだ。グーグルトレンドのデータによれば、ポリネットワークへの関心はこの事件をきっかけに急上昇した。