米国決済大手のペイパルが仮想通貨に関する機能を開発していることを明らかにした。先月末にペイパルが仮想通貨の売買を開始すると報じられていた

ペイパルは、欧州委員会に3月に送った手紙の中で、「仮想通貨とブロックチェーン分散型台帳領域での進化に注意を払っている」とし、イノベーションを阻害しない「調和を目指した」規制を求めると述べた。その上で、2019年6月に発表されたフェイスブックのリブラの創業メンバーだったことから、「ブロックチェーン技術を使って世界中の銀行口座を持たない人口に対して金融サービスを提供するという提案について学んだ」と明かした。

「(リブラ立ち上げ以降)、ペイパルはこの分野での機能開発において単独で明白なステップを踏んでいる」

ペイパルは2019年10月にマスターカードやVISAとともにリブラを脱退した。ペイパルは、リブラ脱退後も「金融サービスの民主化」を優先的に進めると付け加えた。

欧州委員会は、EUにおいて仮想通貨に関する法的フレームワークを構築する際のフィードバックを求めている。

ペイパルと仮想通貨

先月23日、コインデスクがペイパルが仮想通貨の売買を開始する業界関係者の話として報じた。世界に3億人以上のユーザーを抱えるペイパルが仮想通貨を採用するとの観測は、業界でも好材料として話題になった。

ペイパルはコインテレグラフジャパンに対して「噂や観測に対してはコメントできない」とコメントしていた。

ただペイパルでは仮想通貨関連の求人を行っていることが明らかになっている

ペイパルの求人募集の概要は、同社の求人情報ページに掲載されている。求人の1つは「テクニカルリード - 仮想通貨エンジニア」というタイトルの仕事だ。この求人は「俊敏性、市場投入までの時間、革新性に焦点を当てたペイパルグローバルの新しいイニシアティブの責任者になる」と記載されている。

もう1つの求人情報は、ペイパルのリサーチグループで作業するブロックチェーン・リサーチ・エンジニアのものだ。「ストラテジック・テクノロジー・イネーブルメント・チーム内で新しく形成されたグループでは、ブロックチェーン技術とペイパル内でのそれらの潜在的な用途に関する専門知識と意見の作成を担当する」と書かれている。

ペイパルの仮想通貨参入に関しては、仮想通貨業界の中からは警戒感も出ている

米国の仮想通貨取引所クラーケンのジェシー・パウエルCEOは、普及の面では素晴らしいのは確かとしつつも、ペイパルによる突然の口座閉鎖もありうると指摘。中央集権的な政府が「司法管轄外の経済制裁を発動して金融システムをコントロールし続ける」とし、ペイパルもその影響を大いに受けるだろうと予想。結局のところ、秘密鍵を自身で保有することが大切という見方を示した。

昨年10月、ペイパルはリブラの発行体となるリブラ協会に参加しないことを正式に認めた。理由は、フェイスブックがマネーロンダリング対策の懸念などに十分な対処をしてこなかったことで不信感を募らせているためという報道もある。

ペイパルは、当時「私たちは、リブラの構想を支持し続け、将来一緒に働く方法について継続的な対話をしていくことを望んでいる」と述べていた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン